JAPAN2018/02/05

TGR Vitz CVT、全日本開幕戦でクラス2位表彰台

(c)Toyota

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 2018年シーズン全日本ラリー選手権(JRC)開幕戦Rally of Tsumagoiが2月2〜4日に群馬県嬬恋村を拠点として行われ、TOYOTA GAZOO Racingの眞貝知志/安藤裕一(TGR Vitz CVT)が、クラス2位表彰台を獲得した。

 モータースポーツの厳しい環境の下で「人を鍛え、クルマを鍛える」ことを目的として、2018年全日本ラリー選手権開幕戦にTGR Vitz CVTで臨んだTOYOTA GAZOO Racing。活動4年目を迎えるチームは、ドライバーに眞貝知志選手、コドライバーに安藤裕一選手を迎えることになった。チームにとってスノーラリーは初参戦。車両は2017年のグラベルラリー仕様をもとに、氷雪路に向けサスペンションなどの調整が行われた。

 これまでターマックを中心に活躍してきた眞貝選手にとってもスノーラリーは初挑戦。「参戦にあたりTGR Vitz CVTでテストを行ってきましたが、実戦でこそ理解できる点も多いと思っています。まずはこのラリーを完走することで、経験やデータをしっかりと持ち帰りたいと思います」と、眞貝選手は意気込みを語り、ラリーをスタートした。

 夜間の走行となった初日、圧雪路や凍結路などが混在するなか、眞貝選手は慎重な走行でクラス2番手につける堅調なスタートを切ることになった。気温が上がり、雪が融けた部分など難しい路面状況となった2日目も、8つのスペシャルステージを大きなミスなく走り切り、3日目の最終日にはSS17で今大会初となるSSベストタイムを記録し、残されたSSも安定したペースを維持してフィニッシュ。チームは2018年シーズンに向けて、開幕戦で2位表彰台を獲得する幸先の良いスタートを迎えている。

宮本昌司(チーフメカニック):「眞貝選手はかなり慎重に走行してくれました。大きなトラブルなどもなく最後まで走り切ってくれたことに感謝しています。いいデータを得ることができましたが、雪道でのセッティングを含め、色々と課題も見つかりました。来年までスノーラリーはありませんが、車両の基本的な挙動や特性は、グラベルラリーと共通です。今年はグラベルラリーも多いので、今回のラリーで得られた経験は参考になるはずです」

児島 星(CVT担当エンジニア):「スノー路での事前テストが十分にできなかったため、CVTの制御に関していくつか選択肢を用意して臨みました。眞貝選手からの要望もあり、競技中に制御を変更しましたが、その後は走りやすくなったようです。データからも的確な制御ができたという手応えを感じます。乾いたターマック路面での制御に関しては、昨年の新城ラリーでほぼ完成の域に達していましたが、路面μ(ミュー/摩擦係数)がかなり低くなるスノー路やアイスバーンでの競技は初めてだったので、将来に向けて有用なデータを得られたと思います」

眞貝知志(ドライバー、写真左):「TGR Vitz CVTは非常に運転しやすく、無事に完走できてホッとしています。今回のように路面コンディションの変化が急激だと、少しの無理が大きなリスクになって返ってきそうだったので、あえて限界の一歩手前に留めるドライビングを心がけました。結果的に最後までマシンの状態を保ちながらCVTの制御を数多く試せたので、この戦略が正しかったのだと思います。CVTに関しては今回のラリーでかなり進化したと思っています。初日の感触を踏まえて、2日目の昼から変更したソフトによって、制御が劇的に良くなりました。低μ路におけるスポーツCVTの理想形に近づくことができたのではないかと思います。チームの整備作業は的確で、安心感を持ってラリーを戦えました。万全の体制で戦えている実感があります」

安藤裕一(コドライバー):「初めてのスノーラリーだったので慎重に戦いましたが、今後に向けてとてもいい経験ができたと思っています。チームとのコミュニケーションもしっかり取れましたし、クルマの整備も安心して任せることができました。我々クルーの要望を色々取り入れてもらったことにも感謝しています。第2戦の唐津は眞貝選手の得意なラリーですし、私自身も非常に楽しみにしています」