オイット・タナクは、コロナウィルスの影響によってFIA世界ラリー選手権が活動停止となっている現況で、挑戦を始めるプロのモータースポーツ競技者たちが増え続けているヴァーチャル競技に遅ればせながらトライしたものの、やっぱり本物にはかなわないと本音をのぞかせた。
ヒュンダイ・モータースポーツがクルーたちの現在にスポットライトを当てるホームシェイクダウンシリーズ。先週末に公開された最新のインタビューでは、世界王者のタナクが、妻と2人の子どもたちと過ごす時間を楽しむ様子や、彼がこの休みの期間を通じてどのように2020年の開幕からの3戦を詳細に分析しているかについて近況を語っている。
タナクはまた、本格的な活動ができない現実での穴埋めとしてドライビングシミュレーターを入手している。だが、家でのヴァーチャル・ドライビングでは、世界中のスペシャルステージをWRカーで駆け巡るスリルには到底かなわないことをすぐに知ったと彼は明かしている。
―オイット、最近はどのように過ごしていますか?
タナク:「すべて順調に行っているよ、ありがとう。この期間もとても忙しくしていて、特に文句を言うようなこともなかったよ。天気も良かったし、自分たちにやれることが十分にあったからね。庭の周りだけでなく、作業を必要とする広いエリアが森の中にもあるんだ」
―ラリーがない状況にどのように対処していましたか?
タナク:「もう本当にロスだよ。正直、あまりに恋しくなってシミュレーターを取り入れることにした。何度かやってみたけど、本物と同じというわけにはいかないね、それに僕たちが普段森の中を駆け抜けながらやれることは体験できない。それに日々チームとともに仕事に取り組んでいないと全然違うんだ。ヘルメットを装着していざ、というスリル、ラリーの興奮に見合うものはないよ」
―その他はどんなことをして時間を過ごしていますか?
「この休みは実際そんな悪くはない。家族と過ごすプライベートの日常生活の中で日々の様子をしっかりと見て実感することができている。ラリーがあると忙しくてそういう余裕があまりない。移動に時間を取られないことはありがたいことだ。僕たちが競技を戦いながらもその移動の時間を極力減らせるようになんとかいい方法を見つける必要がある。指をクリックするだけで、ポルトガルでもスペインでも、ラリーがどこであっても一瞬でそこに行くことができればいいのに」
―チームのメンバーたちとは連絡を取り合っていますか?
「アンドレア(・アダモ、チーム代表)やエンジニアたちとは密接に連絡を取り合っているよ。開幕からの3戦を振り返りながら、今後に向けてもう少し経験を積んで学んでいく機会も持てたよ。マルティン(・ヤルベオヤ、コドライバー)とも時々連絡を取り合っているよ。彼とは3年間続けて毎日顔を合わせていたよ。彼も家での時間を楽しんでいる様子だけど、僕と同じようにラリーが恋しいみたいだ。僕たちはいつでもまた走る準備はできているよ」
―特に恋しいラリーはありますか?
「ニュージーランドはお気に入りの1つで今年走れるのを楽しみにしていた。それが実現するかどうかははっきり分からない。もう1つぼくがすごく好きなのはポーランド、もちろんカレンダーにはもう残っていないけどね。それからまだカレンダーに入っているイベントで僕が本当に楽しめるのがフィンランドだね。クルマにも、タイヤにもそんなにハードじゃない、ドライバーにとってハードなだけだ。まるでドライビングの芸術のようだ、着地してまた宙を舞って、適正なスピードで正しいポジションがとれるようになる必要がある」