ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第2戦のアソーレス・ラリーは、強い雨と風が吹き荒れた初日を終えて地元のリカルド・モウラ(シュコダ・ファビアRally2エボ)がリードするも、午後のループで追い上げたオーストリア・チャンピオンのシモン・ワグナー(シュコダ・ファビアRally2エボ)が8.4秒差で続いている。
アソーレス諸島のサンミゲル島で行われるアソーレス・ラリーは、変わりやすく荒れた天候で有名だが、今年も土曜日のオープニングステージが嵐のような雨と風によって救急の車両が待機できないことからキャンセルとなるなど、容赦のない悪コンディションがドライバーたちを待ち受けた。
このようなステージでトップに立ったのはポンタ・デルガーダ出身のモウラだ。2016年にERCアソーレスで優勝したほか、アソーレス選手権で10度のチャンピオンに輝いている彼は半年ぶりのラリーだったにもかかわらず、豪雨のなか水たまりの生まれたSS2グラミンハイスでトップに立つや、その後もトリッキーなコンディションのなか、首位をキープすることになった。
午後になって晴れ間も見えることもあったが雨は断続的に降り続き、モウラがじわじわとリードを広げ、ワグナーに8.4秒差をつけて初日をトップで終えることになった。
「ステージには水が多くて、とてもとてもマディだ」とモウラは語った。「コンディションはあまり楽しくないものだったし、ドライブが難しい日だった。トロンケイラの2回目の峠でリズムがつかめず少しタイムをロスしてしまったが、あとは順調だった。8秒のリードなんて大したことはないから、明日も自分の仕事を続けていくよ」
午後のループで素晴らしい速さをみせたのは、2019年のERC3ジュニア・チャンピオンのワグナーだった。過去2度、アソーレスに出場した経験をもつ彼だが、いずれもリタイアに終わっている。しかし、今年は朝のループでは4位につけたあと、スリリングな路面の午後のループでは飛び抜けた速さを見せて、SS4コロア・デ・マタではERC初ステージ優勝を果たし、さらにSS6トロンケイラでは首位のモウラとの差を12.1秒も縮める素晴らしいベストタイムで4位から2位へと浮上、首位から8.4秒差で初日を終えることになった。
首位から9秒差には、チームMRFタイヤのエフレン・ヤレーナ(シュコダ・ファビアRally2エボ)が続いている。昨年のERCでシーズン2位となった彼は速さはなかったが、安定したペースで堅実な走りを続けている。
ERCジュニアチャンピオンのケン・トルン(フォード・フィエスタRally2)は、朝のループを首位のモウラから1.5秒遅れの2位につけたが、午後のループのトロンケイラではウォータースプラッシュのあとで失速、ここだけで16.9秒を失ってしまい11.7秒差の4位で初日のゴールを迎えている。
ポイントリーダーのニル・ソランスが欠場したため、事実上の選手権リーダーとして出場したアルミンド・アラウージョ(シュコダ・ファビアRally2エボ)はオープニングループで12位と苦戦した後、デイサービスでセットアップを変更して5位までカムバックを果たしている。しかし、トップ4の戦いから23.8秒離れており、表彰台のバトルからはやや遅れている。
アラウージョから9.6秒差の6位にはシモーネ・テンペスティーニ(シュコダ・ファビアRally2エボ)が続き、ERCミシュラン・タレント・ファクトリーのハビエル・パルド(シュコダ・ファビアRally2エボ)は序盤に2度のスピンを喫したが、6.3秒差の7位につけている。
ERC3ではジョン・アームストロング(フォード・フィエスタRally3)がオープニングSSで3分35秒も大差をつけてリード、総合でもRally2カー勢に食い込む速さをみせて9位につけていたが、SS3トロンケイラのウォータースプラッシュでマシントラブルに見舞われてストップしてしまった。もう一台のエントラントだったイゴール・ウィードワク(フォード・フィエスタRally3)も同じステージでブレーキトラブルのためリタイアとなっている。