Raid2022/01/11

アウディがダカール初のステージ1-2

(c)ASO/DPPI

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 ダカール・ラリーの第8ステージで、マティアス・エクストロームがチームメイトであるステファン・ペテランセルを抑えて、自身初となるステージ勝利を飾り、アウディ・スポーツのアウディRS Q e-tronがダカールで初めてステージ1-2を飾ることになった。

 第44回ダカールは1月10日、アル・ダワディミからワディ・アド‐ダワジールまでの間に395kmの第8ステージが設けられた。序盤の200kmは砂丘と砂地のミックスコースで、そのうち30kmは鋭い岩場となった。

 8番手からスタートしたエクストロームは、ステージを通してトップクラスの速さを見せ、有利な出走順を生かして、14回の優勝経験を持つペテランセルを49秒差で破りフィニッシュ、フル電動パワートレーンをもつアウディRS Q e-tronがステージ1-2勝利を奪うことになった。

「とても楽しい一日だった。エミル(・ベルクビスト)はステージ全体を通して素晴らしいナビゲーションをしたし、完璧でないところはたったひとつもなかった。素晴らしい一日だった」とステージを終えたエクストロームは語った。

「僕たちはまだここではルーキーのようなもので、毎日学ぼうとしているが、今日はひとつもミスをしなかった」

 この日のサプライズは、バーレーンレイド・エクストリームのセバスチャン・ローブ(BRXハンター)が、1番手でコースオープナーを務めるという不利なポジションと第1ウェイポイント前でのパンクに見舞われながらも3番手タイムをマークしたことだ。

 最初のウェイポイントの手前でパンクに見舞われたのは、ローブだけではなく総合首位につけるトヨタGAZOO レーシングのナッサー・アル-アルアッティーヤ(トヨタGRダカールハイラックス)も同様だった。ホイール交換を余儀なくされた二人はともに最初のウェイポイントではトップ20圏外で通過したが、残りのスペアホイールがなくなったためペースをあげなかったアル-アルアッティーヤに対して、同じくハンデを負いながらもローブはその後ハイペースで追い上げを敢行する。

 ローブは第1ウェイポイントを過ぎた地点ではトップを快走するアウディ勢から2分近くも遅れていたが、見事な反撃に出て2台のアウディを相次いでパス、170km地点で首位に立つことになった。しかし、ローブもまた、ニュートラルポイントの前に走行中にスペアホイールが脱落してしまい、フィニッシュまでペースを落とさざるを得なくなったため、最終的に3番手のフィニッシュを迎えることになった。

 それでもローブはアル‐アッティーヤとの差を7分縮め、37分58秒遅れの総合2位につけている。

「簡単ではなかった。スタートから最後まで懸命にプッシュした。コースオープナーだったが、とにかくナッサーに追随されないようにスタートから懸命に攻めたが、パンクしてしまった。すぐにホイールを交換してニュートラルポイントまでその状態を続けたが、そこでスペアホイールをなくしてしまったので、最後は少し慎重にならざるを得なかったよ」

 アル‐アッティーヤはこのステージを11番手でフィニッシュしたが、ローブが終盤にペースを落としたことでいくらか救われた。彼のマシンはディファレンシャルトラブルによって2輪駆動での走行を余儀なくされたが、なんとかダメージを最小限に食い止めた。

 アル‐アッティーヤは次のように語った。「パンクして、その後リヤが壊れたので前輪しか駆動しなかった。ずっと怖かったよ。最後のほうは、『気にしないで、最後の50kmは少しプッシュしてみよう』と言った。でも前輪駆動では簡単じゃなかった。フィニッシュできて本当にラッキーだし、セブに7分遅れただけで済んだ。それにしても、これまでとてもいい仕事をしてきたので、今になって問題が出てきたらと思うと怖い・・・。中で小さな部品が壊れ、大きな音がしていたんだ。なぜこんなことが起きたのか、新しいリヤデフで、昨日追加したばかりだったんだ。ダカールに終わりはないんだ。ダカールは、どこまでいってもダカールだ」

 カルロス・サインツ(アウディRS Q e-tron)がローブから3秒遅れでこのステージの4番手タイムとなり、第5ステージを勝利したヘンク・ラテガン(トヨタGRダカールハイラックス)がさらに9秒遅れで5番手となった。

 総合順位ではトップ3はポジションをキープ、オーバードライブ・レーシングのヤジード・アル-ラジ(トヨタ・ハイラックス)もローブの後方15分あまりの差で3位に続いているが、4位につけていたオーバードライブ・レーシングのルシオ・アルバレス(トヨタ・ハイラックス)はステージ序盤にマシントラブルが発生し、アシスタントを待つことになり総合22位まで後退してしまった。トップ10入りの可能性はほぼ消滅している。

 この結果、XレイドMINIチームにヤクブ・プジゴンスキー(MINI JCW)が4位に浮上し、オーランド・テラノバ(BRXハンター)は3分差で5位となった。また、2014年大会勝者であるチームメイトのナニ・ローマ(BRXハンター)はマシントラブルでステージ上でストップし、1時間以上遅れてしまった。