RallyCross2020/10/19

クリストファーソン、2年ぶり世界RX王座に近づく

(c)FIAWorldRallycross.com

(c)FIAWorldRallycross.com

(c)FIAWorldRallycross.com

 世界ラリークロス選手権のスペイン・ラウンドが、10月17-18日の二日間にわたってバルセロナ-カタルニア・サーキットでダブルヘッダー開催され、初日のシーズン第7戦ではチーム・ハンセンのティミー・ハンセン(プジョー208)が今季初優勝を飾ってタイトル連覇への強い意志をみせたが、最終日の第8戦ではクリストファーソン・モータースポーツのヨハン・クリストファ-ソン(フォルクスワーゲン・ポロGTI)が今季4度目の勝利を飾って選手権を大きくリードすることになった。

 土曜日の第7戦ではポールポジションからスタートしたクリストファーソンは、ニュータイヤ4本でファイナルに挑んだティミー・ハンセンに敗れることになったため、翌日の第8戦では予選からフレッシュタイヤを温存することになった。

 予選では、DTMの2度の王者であるマティアス・エクストローム(アウディS1)がトップに立った一方で、クリストファーソンは今季初めて予選で一度も最速タイムを出せずに5位となった。しかし、クリストファーソンはセミファイナル1をグリッド3番手からスタートすると、ケビン・ハンセン(プジョー208)を抜いて2位に浮上、早めに選択したジョーカーラップでエクストロームを抜き去り、そのままファイナルのフロントローを獲得した。

 2019年にタイトルを争ったアンドレアス・バッケルド(ルノー・メガーヌ)は、Q3でフロントランナーを破って最速タイムを叩き出すと、セミファイナル1をポールポジションから勝利し、ファイナルのポールポジションを確保した。

 ファイナルでは、ポールポジションのバックルドがスタートで出遅れるなか、新しいフロントタイヤを装着したクリストファーソンは、フロントローから最高のスタートを切ってトップに立つが、最初のタイトな左コーナーで集団が減速したところで、クリストファーソンのリヤにバッケルドが接触し、バッケルドのマシンはイン側のタイヤバリアに押し込まれてスピンした。

 逆方向を向いてストップしたバッケルドのマシンには後続のロビン・ラーソン(アウディS1)が激突、2台は押し出されるようにコースアウトして両ドライバーはその場でリタイアした。

 2列目からスタートしたエクストロームはスタートを失敗して後退したことが幸いして、オープニングコーナーでバッケルドの静止したアウディS1をうまく避け、クリストファーソン、ティミー・ハンセン、アントン・マルクルンドの3人を追いかけてスタートした。エクロストームの元EKSチームメイトのマルクルンドは最初のチャンスでジョーカーを選択して4位に後退した。一方、クリストファーソンは3週目でジョーカーを選択し、エクストロームの後ろにつけた。

 エクストロームは、クリストファーソンのペースを落とすことでハンセンを先に行かせて、選手権トップのクリストファーソンとの差を縮めようと考えていたかもしれないが、3周目の最終コーナーでミス、芝の上をスライドしてコースオフしてしまい、クリストファーソンとマルクルンドに順位を奪われてしまった。

 クリストファーソンは首位のハンセンへ追撃を開始、ハンセンは前日と同様にファイナル用に4本の新しいタイヤを残し、レースの半分をトップで走っていたにもかかわらず、クリストファーソンから逃げ切れるペースを持っていなかった。ハンセンは最終周でジョーカーを選択したが、2位に後退、クリストファーソンがトップでチェッカーフラッグを受けることになった。

 クリストファーソンはゴール後、スタート直後の1コーナーでのバックルドとの接触が審議となり、ペナルティが課せられる可能性もあったが、クリストファーソンには問題がなかったと判断され、今季4勝目、通算24度目の勝利を飾ることになった。

「素晴らしいスタートができた。僕は前にいて、彼(バッケルド)がぶつかってきたんだ」とクリストファーソンは語った。「アンドレアスがスタート後に出遅れたのを見たし、僕が完全に先行していると思っていたが、彼は1コーナー手前でロケットのように戻ってきていたんだ。どうしようもなかった。1台分引き離していたのに、振り返ったときにはもう衝突していたんだ」

「ティミーが今日も4本とも新しいタイヤを履いていたのがわかっていたし、僕は前2本だけが新しいタイヤだったから、彼に勝つために、それこそすべてを尽くさなければならなかったよ!」

 2.7秒差の2位にハンセン、マルクルンドは3位で今季初の表彰台を獲得した。一方、エクストロームはマルクルンドから15秒遅れの4位に終わることになった。

 残り2戦となった今季のドライバーズランキングでは、クリストファーソンが27ポイント差でエクストロームをリードしており、11月21-22日に予定される次戦のベネルクス・ラウンドで自身3度目の栄冠を手にする可能性がある。