ERC2023/05/21

セスクスとパッドンが激しいトップ争い

(c)RedBull Content Pool

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 2023年ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第3戦ラリー・ポーランドのレグ1は、チームMRFタイヤのマルティンシュ・セスクス(シュコダ・ファビアRS Rally2)が、選手権リーダーのヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 N Rally2)がスリリングな戦いを制してレグ1をリードしている。

 ラリー・ポーランドは、金曜日夜に行われたSS1ミコワイキ・アリーナのスーパーSSで開幕、2年連続勝利を狙うポーランドのミコワイ・マルツィック(シュコダ・ファビアRS Rally2)がベストタイムを奪って、素晴らしいスタートを切ることになった。

 しかし、ラリーが本格的な森林の高速グラベルに戦いの舞台を移した土曜日の朝、SS2シウィンタイノでマルツィックはスピンしたあとディッチにフロントタイヤを落としてストップ、あわやのスタックの危機を逃れたものの、21秒あまりを失って10位へと後退してしまった。

 これでトップに浮上したのは前夜のスーパーSSを終えて2位につけていたパッドンだ。ラリー・ポーランドが世界ラリー選手権の一戦だった時代に2度の表彰台を獲得している彼は、ここで驚異的なペースを見せて大きなリードを築くかに見えたが、彼を3.2秒も上回るペースを見せたセスクスがトップタイムを奪い、パッドンの0.2秒後方の2位へと迫ることになった。

 しかし、パッドンはSS3、SS4で連続してベストタイムを奪い、セスクスに1.4秒差を築いて朝のループを終えることになった。「朝のステージは楽しかった。今のところ順調だが、午後のループは別のラリーだから、マシンのセットアップにも手を入れなければならない」

 2位ととはいえ、セスクスは元WRCドライバーにほとんどペースで負けていないことに勇気をもらったようだ。「良いことは、自分たちがどこで負けて、どこでもっとうまくやれるかがわかったということだ。ヘイデンの方が経験豊富だが、頭を下げて次のループに集中するんだ」

 セスクスは、朝のループでトップタイムを奪ったシウィンタイノの2回目の走行となるSS5でこの日2度目のトップタイムをマークして午後のループをスタートすることになった。ステージは走行によって深い轍が刻まれており、セットアップに苦しんだパッドンは7.6秒も失い、セスクスが6.2秒差をつけてラリーをリードすることになった。

 セスクスはそのあとのSS6、SS7で連続してベストタイムを奪ってリードを9.5秒まで拡大、パッドンはこの日最後のミコワイキ・アレーナで1.3秒を縮めたが、セスクスは8.2秒のアドバンテージを築いてレグ1をトップで終えることになった。

「いい一日だった。戦っているのではなく、楽しんでいるんだ。ここポーランドはいいところだ。トップを争っていることが信じられないくらいだ。パッドンはいいドライバーだし、明日はさらにチャレンジングになりそうだ」とセスクスは語っている。

 シウィンタイノ・ステージの2回の走行だけで10.8秒も失ったパッドンだが、轍が予想外に大きかったコンディションでは無理して攻められなかったと認めている。

「明らかに1つのステージで、2回とも少し時間をロスしてしまった。もっと戦いたかったけど、クルマを轍につけておくことができなかった。でもまだ2位だし、それほど離れていないから、明日に期待しよう。明日もプレッシャーをかけ続けるつもりだし、ラリーやチャンピオンシップのこと、そして明日の新しいステージのことを考えると興味深いものになると思う」

 オープニングステージでのオフによって10位まで後退したマルツィックは、その後はペースを取り戻し、午後のループではヒョンデ・ジュニアドライバーのジョシュ・マクアーリン(ヒョンデi20 N Rally2)を抜いて3位で土曜日を終えることになった。しかし、パッドンからは33.2秒の遅れとなっている。

 また、マクアーリンの1.5秒後方の5位にはマッズ・オストベルグ(シトロエンC3 Rally2)が付けている。前戦ラリー・イスラス・カナリアスではドライブシャフト破損で17位に終わった彼は、ポーランドでもいいフィーリングをつかむのに苦労したが、サービス走行でマシンを硬くしたのが功を奏しており、SS7では3番手タイムを奪っている。しかし、彼はその一方でSS4ではフライングフィニッシュからストップラインまでの間にグローブを外したことで、500ユーロの罰金を科せられて落ち込んでいる。「年をとってしまったね。20年間同じことをしてきたのに、正直に言うと忘れていたんだ。少なくとも、ステージではグローブをはめていたよ! ルールは尊重しなければならないよ」

 1.9秒後方の6位にはフランス・グラベル・チャンピオンのマティユー・フランセスキ(シュコダ・ファビアRally2エボ)、さらに3.3秒差でラリー・イスラス・カナリアスのパワーステージ勝者のアンドレア・マベッリーニ(シュコダ・ファビアRally2エボ)が続いている。

 フィンランド・チャンピオンのミッコ・ヘイッキラ(シュコダ・ファビアRally2エボ)が8位、シモーネ・テンペスティーニ(シュコダ・ファビアRally2エボ)が9位、エリック・ツァイス(シュコダ・ファビアRS Rally2)が10位、そしてERC王者のエフレン・ヤレーナ(シュコダ・ファビアRS Rally2)は11位と出遅れており、ポントゥス・ティデマンド(フォード・フィエスタRally2)が12番手となっている。

 ポーランドチャンピオンのトム・クリステンソン(シトロエンC3 Rally2)は金曜日の最初ステージでシーケンシャルギアシフトが故障し、3分以上ものタイムをロス、ロードセクションで応急修理をしてSS3をスタートしたが、切り返しで岩にぶつかってステアリングアームを破損、リタイアとなっている。

 またポーランドでは新しいルノー・クリオRally3がERCデビューを果たし、フォード・フィエスタRally3エボとの国際舞台における初対戦に注目が集まったが、クリオRally3を駆ったアルゼンチンのパウロ・ソリアは一時2位につけていたが、トラブルで遅れたあと、SS7のフライングフィニッシュで横転してリタイアとなっている。フィエスタRally3エボを駆るジョン・アームストロングが2戦連続でERC3優勝に向けて大きなリードを築いている。

 ルノー・クリオRally4で欧州修行をしているトヨタGAZOOレーシングWRCチャレンジプログラム2期生の大竹直生、小暮ひかる、山本雄紀は、ラトビアで高速テストをした後、ポーランドでERCデビュー戦を迎えており、小暮がERC4の4位でレグ1を終えている。山本は金曜夜のスーパーSSで駆動系のトラブルでリタイアとなったが、リスタートした土曜日は6つのステージでトップタイムをマークして17位まで追い上げている。また、大竹はSS2で惜しくもマシンを止めている。

 また、同じくERCデビュー戦が注目されたマックス・マクレー(オペル・コルサRally4)は電気系の問題もあってERC4の8位でレグ1を終えている。