ERC2022/03/14

ソランスがファフェで圧勝、ERC初優勝

(c)ERC

(c)ERC

(c)ERC

 2022年ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)の開幕戦ラリー・セーハス・ダ・ファフェ・エ・フェルゲイラスは、ラリー・チーム・スペインのニル・ソランス(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)が圧倒的な走りでERCイベント初優勝を手にした。

 ファフェの市街地で金曜夜に行われたスーパーSSを終えて4位につけていた29歳のソランスは、土曜日最初のステージを一番手走行するというギャンブルを成功させて首位に立つと、その後はラリーをコントロールすることに成功した。

 土曜日は悪天候のため2つのステージがキャンセルされるなど、激しい雨と濃い霧、そして泥だらけのグラベルにライバルたちが翻弄される中、ソランスはトップの座を固め続け、1分44.4秒という大きなアドバンテージを最終日に持ち越した。

 日曜日の朝、天候が回復したことでステージの危険性はやや軽減されたが、すでに十分なギャップを手にしていたソランスには無理に攻める理由はなかった。SS13ラメイリーニャではコーナーのカットにミスしてフロントバンパーを吹き飛んでしまうトラブルに見舞われたが、ダメージは表面的なもので、彼は問題なくこのステージをクリア、1分31.9秒をリードして最後のループを迎えることになった。

 ソランスは最後から2番目のステージのサンタキテリアではヘアピンでスピンを喫することになったが、最後まで冷静さキープ。そして2位のアルミンド・アラウージョ(シュコダ・ファビアRally2エボ)に55.7秒の差をつけ、ERC初勝利を飾った。

「僕たちは安定していたし、このラリーのために準備する時間がなかったにも関わらずこの結果というのは、とても満足している」とソランスはフィニッシュ地点で語った。しかし、彼がチャンピオンシップリーダーとして2週間後のERC次戦に出場できるかどうかはまだ不明だ。

「アソーレスへ行けるかどうか、今考えているところだ。エントリーは完了しているが、実現にはサポートを探さなければならない。チャンピオンシップのためには良い結果になったが、これから作業をしなければならない」と付け加えた。

 最終ステージとして行われたラメイリーニャのパワーステージは、滑りやすくトリッキーなコンディションとなったが、地元のエース、アラウージョが何度かコースオフしながらも激しい走りでゲオルグ・リンナマエ(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)を逆転、2位を奪うことになった。アラウージョは、ポルトガル選手権のタイトルを主目的にこのラリー・ファフェに参戦しており、国内戦のイベントについては土曜日の夜に勝利が決まっているため、最終日はややペースを上げて攻めたと告白した。

「本当にトリッキーなステージで、とても難しかったよ」とアラウージョは語った。「雨は降っていないけど、とても滑りやすく、ディッチに向かってたくさんスライドしたよ。ここに到着するのは大きなリスクだった。でも、すべてうまくいった。この結果には本当に満足している」。

 エストニア出身のリンナマエは、アラウージョから3.8秒遅れで表彰台を獲得した。リンナマエは好調なスタートを切ったが、土曜日の午後にはセットアップの問題でペースが落ち始めた。最後の超スリッパリーなラメイリーニャのステージでは彼は自分のポロに問題があったと語った。

「クルマに問題があったんだ。運転できないんだ。コントロールできないし、完全におかしくなってしまった。あれではドライブは不可能だ」

 4位にはハビエル・パルド(シュコダ・ファビアRally2エボ)が続き、ERCミシュラン・タレント・ファクトリーの最上位となった。最終日はインターコムやポップオフバルブのトラブルがあったものの、ベストタイムを2つ獲得し、3位から1分58.6秒遅れでフィニッシュした。

 パルドはラリーの大半をシモーネ・テンペスティーニ(シュコダ・ファビアRally2エボ)と争ったが、テンペスティーニはSS17で壁にヒットし、リタイアした。この結果、パルドから36.4秒遅れでアルベルト・バティストーリ(シュコダ・ファビアRally2エボ)が5位を獲得した。

 チーム・ヒュンダイ・ポルトガルのブルーノ・マガラエス(ヒュンダイi20 N Rally2)は、チームMRFの最上位につけていたノルベルト・ヘルツィヒ(シュコダ・ファビアRally2エボ)がSS17のロードセクションでリタイアしたため、6位に浮上、バティストーリから3分20.6秒遅れでフィニッシュした。

 チームMRFのエフレン・ラレーナ(シュコダ・ファビアRally2エボ)はSS2でファビアのラジエーターを破損して10分あまりも遅れてしまい早々に優勝戦線から後退したが、最終日には3つのベストタイムを奪う速さをみせて11位でフィニッシュした。土曜日のリタイアからリスタートしたケン・トルンは、フォード・フィエスタRally2でパワーステージを勝利し、5ポイントを獲得した。

 新しいERCオープン・カテゴリーでは22歳のマルティンス・セスクス(シュコダ・ファビアRally2キット)が優勝を飾っている。フォード・フィエスタRally3のみの戦いとなったERC3は、カスパール・カサリは最終ステージでドミトリー・フェオファノフのスピンを見逃さず、31.5秒差で優勝を飾っている。ERC4では、スペインでERCデビューしたオスカル・パロモ(プジョー208Rally4)が初日からのトップを守って優勝を飾った。

 ERC次戦はポルトガルのアソーレス諸島に舞台を移し、3月26日〜27日にかけて行われる第2ラウンドのラリー・アソーレスで争われる。