オイット・タナクは先週末に母国のエストニアで行われた、サーレマー・ラリーに6年ぶりに出場し、優勝を飾ることになった。
サーレマー島はタナクが育ったエストニア西海岸の島であり、彼の故郷そのものだ。彼はサーレマー・ラリーには2004年に初出場、2008年には初優勝し、スバル・インプレッサのルーフの上に立った。2019年にワールドチャンピオンに輝いた彼にとって、長い冒険のここが原点なのだ。
「WRCラウンドを除けば、サーレマーはエストニアで最も人気のあるラリーイベントであることは間違いない」とタナクは語った。
「WRCが開催されたことで、ここ2、3年でエストニアではラリー・エストニアの人気が出てきたと言えるが、サーレマーは・・・伝説のようなものだ。昔からあったんだ。僕が生まれる前からあったし、これからもある。実際、大きなイベントなんだ」
タナクは世界を転戦するようになってからも、時間が許すかぎりサーレマー・ラリーには出場してきたが、2017年を最後に参戦していなかった。
「サーレマーには長い間来ていなかったが、故郷として、カレンダーに書き込まなければならないイベントだった。だから、間違いなく、走るのは楽しみにしてきたよ」
タナクは今年のサーレマー・ラリーでは自身が運営するレッドグレイ・チームのフォード・フィエスタRally2を駆って出場した。彼のコドライバーを務めるのは、2022年のジュニアWRCチャンピオンであるエストニアの新鋭ドライバー、ロベルト・ヴィルヴェスだ。26歳の彼は、これまでもタナクのコドライバーを務めた経験がある。
「彼が何回コドライバーを経験したかはわからない」とタナクは語った。「プロとしては・・・ゼロだと思う!でも、アマチュアレベルではラリーに何度か出ている。すでにギリシャではプレイベントテストで僕のコドライバーをしてくれたし、フィンランドでもそうだった。彼は問題なくやっているよ」とタナクはスタート前に語っていた。
今年のサーレマー・ラリーは、金曜日の夜、島南部のクレサーレからスタート、二日間にわたって12ステージ/124.76kmで争われた。タナクのライバルには、エストニアを代表するトップドライバー、ケン・トルン(シュコダ・ファビアRS Rally2)とレッドグレイから参戦する昨年のチャンピオン、グレゴアール・イェーツ(ヒョンデi20 N Rally2)がいる。
雨による厳しいコンディションとなった金曜夜のスペシャルステージで、トルンが連続してベストタイムを叩きだして、勝利への強い決意を示すことになった。タナクは金曜日の最後のステージでトップを奪うも、トルンとの差はわずか1.1秒にすぎない。
しかし土曜日の朝、タナクは5連続ベストタイムを記録し、リードを18.2秒まで拡大、トルンは最後の4ステージでベストタイムを奪って追い上げようとしたが、チャンピオンからトップの座を奪うことはできず。タナクが9.2秒差で優勝した。3位のイェーツはトップから2分26秒遅れだった。
「素晴らしいなレースだった。昨日はケン(・トルン)のスタートが良くて、僕はあまり良くなかった。明らかにこのマシンのペースをなかなか引き出せなかった」とタナクは語っている。
「でも、土曜日の朝、最初のステージで自分を取り戻し、「ロビ」(=ロベルト・ヴィルヴェス)もいい仕事をしてくれた。それで差を広げることができた」
「午後は、ケンはさらにハードにプッシュしてきたので、僕は良いペースをキープして勝利を持ち帰らなければならなかったよ!」
将来を期待される若手ドライバーとして知られるヴィルベスにとって、チャンピオンの走りを真横で見ることができたのは得がたい体験だっただろう。マディで難しいコンディションとなったサーレマー・ラリーで、タナクの走りは驚くべきものだったと彼は認めた。
「ところどころ怖かった! もっと簡単だと思っていたけど、かなり難しいコンディションでもあった。でも、彼はクールだった」とヴィルヴェスは語った。
サーレンマー・ラリーでは、注目の若きフライングフィン、ユストゥス・ライコネンが初めてフォード・フィエスタRally3を駆って4輪駆動マシンでのデビュー戦に臨み、トップから1分21秒差のクラス3位、総合14位だった。
また、ラリー・エストニアのディレクターを務めるウルモ・アーヴァがスバルのステアリングを握って出場、総合15位でフィニッシュしている。