ERC2024/09/02

パッドンがERCケレディギオン優勝、連覇へ近づく

(c)RedBull Content Pool

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 FIAヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第7戦ラリー・ケレディギオンは9月1日日曜日に最終日を迎え、選手権リーダーのヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 N Rally2 )が後続に1分47秒あまりの大差をつけて今シーズン初優勝を飾りチャンピオンシップを大きくリードすることになった。

 ラリー・ケレディギオンの最終日はまさかのドラマとともに始まることになった。レグ1を終えて総合2位につけていたクリス・イングラム(トヨタGRヤリスRally2)がオープニングステージでのクラッシュでリタイアとなってしまったのだ。

 イングラムはERCと併催されている英国ラリー選手権のフロントランナーであり、土曜日までの最初のレグで優勝を飾って最大ポイントを獲得して選手権リーダーを奪回、最終レグでふたたび最大ポイントを獲得すれば最終戦を待たずに初の栄冠を飾るチャンスを持っていた。

 しかし、イングラムは10.74kmのベタニア・ステージで1.7km地点のブレーキングでバンプを越えた際に突然左リヤをロックさせてクラッシュ、ラリーを終えることになった。

 英選手権勢の波乱は続き、なんと英選手権2位、ERC総合5位につけていたキース・クローニン(フォード・フィエスタRally2)までもが6.7km地点でコースオフ、横転してマシンを止めることになった。

 土曜日に行われた8ステージのうち7ステージを制し、1分18秒という大差を築いて総合トップで最終日を迎えたパッドンは、イングラムのアクシデントでコースに赤旗が出されたために走行が中断されることになったが、ステージ最速タイムのノーショナルタイムを与えられ、リードを1分30.8秒へと広げている。それでも上位陣の波乱によって2位にはパッドンとタイトルを争っているマティユー・フランセスキ(シュコダ・ファビアRS Rally2)が浮上することになった。

 だが、最終ループの最初のステージのSS13はスタート前の予期せぬ雨が降り、グリップレベルが変化するスリッピーなコンディションの中でフランセスキは失速、ミコワイ・マルツィック(シュコダ・ファビアRS Rally2)から4.2秒遅れの3位に後退するとともに、6位で最終日をスタートしたチームMRFタイヤのアンドレア・マベリーニ(シュコダ・ファビアRS Rally2)が0.7秒差の4位へと追い上げてきた。

 そして迎えた最終ステージ、パッドンはすでに独走状態を築いているものの、まだ最終戦ポーランドへの参戦が決まってないこともあってかパワーステージのボーナスポイントを狙って猛然とアタック、見事にパワーステージを制してシーズン初勝利を最大ポイントを獲得して締めくくることになった。「ホッとしたよ。とてもタフなシーズンだったが、努力が足りなかったわけではなく、今週末はそれを修正して素晴らしい結果を達成することができた。応援してくれたファンのみんなに感謝したい」とパッドンは語っている。

 最終ステージまでもつれた表彰台争いは、素晴らしいペースを刻んだマベリーニが2位でフィニッシュ、ERC初表彰台を飾ることになった。

 3位にはフランセスキが続いたものの、選手権リーダーのパッドンからは27ポイントのビハインドとなっている。それでも彼は最後までタイトルを諦めないと語っている。「気分は最高だし、このポジションでゴールできたのはポジティブなことだ。最終戦のポーランドではまだ何が起こるかわからないよ」

 マルツィックは3.7秒差で惜しくも表彰台を逃して4位にとなっており、土曜日のパンクのあと見事な反撃をみせたジョン・アームストロング(フォード・フィエスタRally2)が同じアイルランド出身のカラム・デヴァイン(シュコダ・ファビアRS Rally2)を抑えて総合5位でフィニッシュすることになった。

 また、アームストロングは上位勢が波乱に見舞われた英国選手権では日曜日の第6戦で優勝を飾って最大ポイントを獲得、シリーズチャンピオンへの望みをつないだ。

 日曜日の午後に初めてERCステージ優勝を飾ったマット・エドワーズ(フォード・フィエスタRally2)は7位でフィニッシュするかに見えたが、最終ステージでエンジンがカットオフする問題に見舞われて失速、オシアン・プライス(フォード・フィエスタRally2)が7位でフィニッシュしている。

 ERCジュニアは、マックス・マクレー(プジョー208 Rally4)が最終日に素晴らしいペースで追い上げてミッレ・ヨハンソン(オペル・コルサRally4)を逆転して優勝を飾ることになったが、ヨハンソンは最終戦を待つことなく、今年のタイトルに輝いている。

 ERCの次戦は今季最終戦となるラリー・シレジアだ。ポーランドのターマックを舞台に行われる新しいラリーは10月11〜13日に行われる。