WRC2015/04/25

ミーク快走、波乱アルゼンチンの初日をリード

(c)Michelin

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 世界ラリー選手権第4戦ラリー・アルゼンチンのDAY1は、フォルクスワーゲンの3人のドライバーが次々とトラブルに見舞われる波乱の一日となり、クリス・ミーク(シトロエンDS3 WRC)が首位に立つ展開となっている。また、1分以上もの大差がついた2位にはチームメイトのマッズ・オストベルグが続き、シトロエン勢が1-2を占めることになった。

 ラリー・アルゼンチンは金曜日のオープニングステージとなった51.99kmのアグア・デ・オーロ〜アスコチンガのステージでいきなりまさかのドラマが多発する。ラリー前に降った雨によりコースが酷く荒れたステージとして警戒されていたこのステージで、木曜日夜に行われたスーパーSSでトップに立っていたセバスチャン・オジエ(VWポロR WRC)にいきなり異変が発生、彼はエンジントラブルのため46km地点でリタイアとなってしまった。

 このステージでトラブルに見舞われたのはオジエだけではない。ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20 WRC)も終盤近くのクレストを越えたところで外側にふくらんでしまい左リヤタイヤをパンク、ステージでタイヤを交換して4分20秒を失って14位まで後退、アンドレアス・ミケルセン(VWポロR WRC)も右フロントをパンクして9位に沈んでしまった。

 このモンスターステージでトップタイムを奪ったのは、10番手というスタートポジションに恵まれたミーク。彼はハンドブレーキを失い、ヘアピンでは大きくスピードを落として走行するも、なんと2番手タイムのダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 WRC)をいきなり31.9秒も引き離して首位に立つことになる。

 しかし、簡単にリードを許すほど今年のアルゼンチンのコンディションは尋常なものではない。ミークは次のSS3では右リヤタイヤをパンクして18.6秒を失い、ベストタイムで2位に浮上したヤリ-マティ・ラトバラ(VWポロR WRC)が朝のループを終えて15.3秒差まで迫ってきた。

 シトロエン・レーシング代表のイブ・マトンはこうした状況を踏まえ、ミークがリードしているにもかかわらず、このリードを維持することが今の目標ではないと語り、ミークのハイペースに釘を刺したとも受け取れる発言をする。「我々のターゲットは二台そろってラリーをフィニッシュすることで、その目標はこのような状況となった今も変わらない。次のループでの首位はラトバラになるだろう」

 しかし、彼の予想とは異なり、ミークの快走は続くことになった。彼は51.99kmのロングステージでふたたびベストタイム、リヤのブレーキがルーズになったラトバラを13.4秒突き放して、リードは28.7秒に。さらに次のステージでもラトバラは終盤にフロントデフに問題を抱えて24秒をロス、さらにこの日最後のスーパーSSでもペースを落として30秒をロスしたため、マッズ・オストベルグ(シトロエンDS3 WRC)に抜かれて3位へと後退してしまった。オストベルグはオープニングステージでまたもや走行中にエンジンがストップする問題に見舞われながらも安定したペースをキープして2位でフィニッシュすることになった

 波乱の一日を終えて、ミークは1分8.4秒差をつけて初日をリードすることになったものの、初勝利の可能性については触れることもなく、「狙っているわけではない。このようなコンディションでこんな結果は狙ってできることではない。たぶんタイヤチョイスがよかったんだと思う。明日は今日よりさらにタフになるし、さらに慎重に行くつもりだ」と控えめに語っている。

 また、オープニングステージで2位になりながらもパワーステアリングを失ったダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 WRC)が午後のループでペースを上げて初日の4位、フォード勢の最上位となる5位にはエルフィン・エヴァンス(フォード・フィエスタRS WRC)、6位にはアンチロールバーのトラブルに耐えたマルティン・プロコップ(フォード・フィエスタRS WRC)が続き、タイヤ交換で遅れたヌービルが7位まで順位を戻してきた。

 ミケルセンはSS2のパンクに見舞われる厳しいスタートとなったが、そのままステージを走ったことでサスペンションに大きなダメージを抱え、デイサービスに戻ることはできたものの、けっきょくロードセクションでマシンを止めることになってしまった。

 朝のループを終えて4位につけていたオット・タナク(フォード・フィエスタRS WRC)はSS4をスタートして2km地点のウォータースプラッシュで岩にヒット、左フロントタイヤを失ってリタイア。ヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20 WRC)は朝のループでエンジンマウントを壊したあと、エキゾーストが壊れ、ギヤボックスにも問題を抱えたため昼のサービスでリタイアとなった。

 DAY2はこのラリーでもっとも荒れているとも噂される42.50kmのサン・マーコス〜チャラカトのステージが待ち受けるなど、明日もまだまだ厳しい戦いが続くことが予想されている。