WRC2019/11/10

ヤリスの勝田がセントラル・ラリー初日をリード

(c)Takeshi Sakuma

(c)Takeshi Sakuma

 セントラル・ラリー愛知/岐阜2019は11月9日に初日を迎え、トヨタGAZOOレーシングWRTの勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)が総合トップを快走している。勝田は見慣れた日本の風景のなかをWRカーで走るのは特別な気分だったと語りながらも、ツイスティな日本の林道コースをヤリスで走るのはかなり難しいチャレンジだと明かしている。
 
 2020年に世界ラリー選手権として開催されるラリー・ジャパンのテストイベントとして位置づけられるセントラル・ラリー愛知/岐阜。大会運営サイドやマーシャルにとっては来季の本番に向けたリハーサルであると同時に、ギャラリーをいかに楽しませるかというヨーロッパのWRCの観戦スタイルを日本にも導入しようとした主催チームの意図は明確であり、これほどギャラリーのためにより多くの観戦ポイントが設けられたことは日本のラリー史上なかったことのように思われる。集落の真ん中に設けられたスペシャルステージをヤリスWRCやR5マシンが全開で駆け抜け、ファンのみならず地元に住んでいる人たちがコースサイドで声援を送るシーンをみると、新しいラリー・ジャパンの誕生を強く予感させられる。

 初日に予定された6SSのうちSS5ヌカタが交通状況悪化のためにキャンセルとなったが、この日行われた5つのステージすべてにおいてベストタイムを奪って総合トップでモリコロパークのサービスへと帰ってきた勝田は、ギャラリーが多かった新しい日本のラリー風景に印象付けられたと語った。

「ステージだけでなくてロードセクションにもすごくたくさんの観客の方々がたくさんいらっしゃっていて、すごくうれしかったですね。日本の風景のなかを駆け抜けていくのは、世界で走るのとはまったく異なる胸の高鳴りがあります! こうやってまたラリーが広まっていったらいいですね!」と勝田は語った。

「朝のステージは冷えており、ナローなセクションが連続する最初のステージは、フィニッシュまでタイヤが温まらずにトリッキーでした。日本特有のコースでこのWRカーで走るのはけっこう難しく、コルシカよりも曲がりくねって、さらにスピードも遅いですし、ドライビングもクルマのセットアップも来年に向けていろいろ試してみながら走っています。難しいですが、そのために僕らはここを走っているので、いいデータを持ち帰りたいと思っています」

 新井大輝(シトロエンC3R5)は、朝のステージではラジエータのブラケットが壊れてターボのシーリングに干渉するハプニングがあったが、大きな問題もなく首位から1分31.7秒差の2位につけている。

「今回はソフトタイヤしかもってなかったので、気温が上がってきた午後になると余計にタイヤが厳しかったですが、ベースのセッティングでもマシンのフィーリングも悪くなかったです。少しずつセットアップをいじっていけばもっとよくなると思います」と大輝は語っている。

 シュコダ・ファビアR5でのデビュー戦に挑んだ福永 修が2分45.2秒遅れの3位、3分51秒差の4位にはヘイッキ・コヴァライネン(トヨタGT86 CS-R3)が続いている。

 また、国内格式部門は、鎌田卓麻/鈴木 裕(スバルWRX STI)が初日をリード、2位の勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)が21.7秒差で続いている。