WRC2022/04/25

ラリー後会見「これ以上に速く走れなかった」

(c)Toyota

(c)Hyundai

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―カッレ、ドラマチックな最終日となりました。ラリーを終えての心境を聞かせてください。

カッレ・ロヴァンペラ:「もちろん最高の気分だ。全体的にかなりタフな週末だったし、最終日であってもプッシュし続けなければならない展開で、いつも以上にエキサイティングだったよ」

―最終ステージの追い上げはすごかったですね。全力を使い果たしたのでは?

ロヴァンペラ:「完全に使い果たした。これ以上に速く走れることはなかっただろう」

―今朝、あなたはハードタイヤ、オイットはソフトタイヤを選択しました。その判断には満足していましたか?

ロヴァンペラ:「朝の時点では確かに良さそうだった。最初のステージはドライでグリップも良かったので、ハードタイヤが向いていることが分かっていた。そこではかなり良かったが、その後雨が降ってきて、あまり良くなくなった」

―リードを失ったとき、あなたは打ちひしがれているように見えました・・・。

ロヴァンペラ:「僕たちはウェットタイヤ2本をクロスさせることができたが、フルウェットでハードタイヤ2本では、あまりうまくいかなかった。ステージ全体ではかなりタイムをロスしていることが分かっているのに、それをどうすることもできないのは辛かった。スピードを出そうとしても、グリップがないんだ。このような状況では出来ることは他に何もなく、絶望的だった」

―最終ステージでは太陽が顔を出しましたが、タイヤチョイスはまだ最適ではありませんでした。グラベルクルーからの情報は大きく影響しましたか?

ロヴァンペラ:「週末を通して重要だった。グラベルクルーは、僕たちが信頼できるような正確なノートを作るという大きな仕事を担い、パワーステージでも彼らはいい仕事をしてくれた。最後のステージではタイヤのコンビネーションがドライブしやすいものではないと感じていたが、ハードターマックではいいところもあった。だが泥や汚れのひどい場所もあったので、ベストな組み合わせだったかどうかはわからない。本当に大変だったけど、とにかくプッシュしたよ」

―グラベル、スノー、そしてターマックで勝利を挙げました。これまでの勝利と比べてどうですか?

ロヴァンペラ:「少なくとも、全体としては今週末が最もトリッキーだった。誰もがミスやトラブル、パンクなどを抱えていたし、最終的には僕もパンクし、雨の判断も間違っていたので、大変だった」

―オイット、あなたが首位に立ったのは1つのステージのみでしたが、優勝の可能性がありました。

オイット・タナク:「初日にかなり離れてしまったので、そこまで優勝に近づけるとは思ってもいなかった。毎日新しい状況に対応しなければならなかった。最初のうちは雨が降っているときが一番楽だったが、ステージの間が非常に離れていて、まるで世界の違う場所に行くような感じだった。ひとつのループでパッケージをまとめるのが難しかったが、しかし、そのなかで僕たちが非常にクレバーで良いタイヤチョイスをできたことが強みとなったと言えるだろう。昨日も今日も、それがとてもうまくいった。これは僕たちの最強のカードだった」

―今朝は素晴らしかったですね。あなたはソフトを、ティエリーはソフトとハードのスプリットを選択しました。素晴らしい天候情報を得ていたのでしょう。

タナク:「ああ、僕たちの仲間がいい仕事をしてくれた。少なくとも、彼は挑戦した。今朝、彼は雨について確信が持てていなかったが、しかし、僕の後ろには大きなギャップがあったから、これはむしろチャンスだと考えたようだ。だから僕はあまりリスクを冒しているようには感じなかった。個人的に、僕もその狙いのまま行きたかかった。けれど、最初のステージの後、非常に悪いタイムだったので、ティエリーとクレイグが後ろにいて、このままループの間これが続いてしまうのではないかと心配になった。それでも次のステージでは素晴らしい結果になった。天候の変化は信じられないくらいだった」

―最終ステージでは、優勝を狙っていましたか。

タナク:「確かに勝とうとした。でも昨日と同じように、コンディションがストレートのときには、パフォーマンスがあまり良くなかった。ティエリーは常に少し速かったが、彼も限界までプッシュしていた。トヨタに匹敵するスピードが足りていなかったことは間違いない。それ以外はクリーンでミスもなく、いいステージができたと思う」

―ティエリー、今週末はずっとドラマが続いていましたが、あなたはパワーステージでも私たちの期待を裏切ることはなかったですね! バンクにヒットした時、表彰台はもうないって思いましたか?

ティエリー・ヌーヴィル:「正直言うなら、それはノーだ。しかし、クルマがどこにどうなったのか、分からなかった。ディッチがあるのは分かっていたから、クルマを守ろうとしていたけど、そうなったらその時だ。かなり劇的見えたと思うけど、中からはそこまで大袈裟なものではなく、2本もパンクだけで済んだんだ。それだけで済んで幸いだった、そうでなかったらサービスまでたどり着くのは困難だったからね。チャレンジング、エモーショナル、アップダウンの激しい週末だった。たくさんの悔しい思い、時にちょっとした喜びもあったよ、たとえば今朝のように3位を取り戻すことができた時とかね。それはいろんな問題があった今週末の中で僕たちがまず目標としていたことだったからね。だから今ここにいることが嬉しい、たとえパワーステージでの3ポイントは失ったとしても。それが唯一、僕とマルタインが今週末取りこばしてしまったものだ」

―クルマはモンテの時と比べてどうですか?

ヌーヴィル:「クルマの感触が良くなったのは間違いない。だけど、モンテの時にあった問題をたった1つのイベントで、そこまで取り返すことができるかというと、それは現実的ではない。現実的に考えて、一歩前進して、ほんの少しだけ近づくことができた、でもまだそこにはたどり着けていない。パフォーマンス的にも信頼性という部分でも、実際この最初の3つのレースで、3回もトラブルに襲われたからね。チームとして今後のイベントに向けてそこを改善していいけることを期待したい。なんとか2台のクルマを表彰台に上げることができたから少しは良い週末だった。でも選手権を獲るためにはまだいくつかステップを踏んでいくことが必要だと思う」

―最初のグラベルイベントとなるポルトガルが控えています。セバスチャン・ローブとダニ・ソルド復帰し、おそらくオジエも参戦します。彼らが非常に有利な走行順で走ることになりますが、そういった部分でどう感じていますか?

ヌーヴィル:「ずっと後ろの方で走れる彼ら6人のドライバー達は勝利を狙えるわけで、オイット、カッレ、そして僕に表彰台のチャンスがあるというのは現実的ではない。でも僕たちがこの後の数週間練習を重ねて、今週末と同じような天気になれば勝利するチャンスも出てくるかもしれない」

―カッレ、グラベルについて、そして最初にコースを走ることに関して、表彰台にも届くのかどうか、どう思いますか?

ロヴァンペラ:「そうだね、僕にとってもちょっとした状況が何かとあるね。面白くなりそうだし、トリッキーだ。プランとしては、それぞれのレースの何かしら良いところを取り上げて良いペースを保ち続けることだ。表彰台を目指す戦いは決して容易なものではないし、勝利は不可能な場合もあることは分かっている。いずれにせよ自分たちにできる限りのベストを尽くすことが必要だ」

―オイット、あなたはどうですか?

タナク:「そうだね、まずは最初のテストを行って、グラベルでのクルマの最初の感触を確かめられたらいいと思う。ポルトガルはいつも楽しいイベントで、いくつか素晴らしいステージがある。どうだろう。初めてのグラベルで、僕たちがどの位置にいるのかを確認できるのは興味深いところだ」

―ヤリ-マティ、今週末のカッレのパフォーマンスについてどう思いましたか?今日の気持ちは?

ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ、チーム代表):「それはもう・・週末の間、感情が上がったり下がったりだったよ。オイットが本当に我々を限界まで追い詰めていたと言わざるを得ない。今朝はまずタイヤチョイスに始まり、初のステージではカッレにとってすごく良い感じだった。そのまま勝利できそうなくらいだった。そしてそこから急激に状況が一変した、最終の前のステージでオイットがものすごいタイムを出してリードを奪った。その時点では、普通に見て我々は負けたと思ったよ。雨が降り出して、パワーステージでも降っていたことも分かっていたからね。そして最初に走るWRC2のクルマを見ているとコース上にはかなりの量の泥があって、オイットの方がそれに合ったタイヤを履いていることも分かっていた。基本的に、このイベントでどれくらいのポイントを失い、ヒュンダイがどれだけ差を縮めてくるのかという計算を始めていたところだった。でも結局はその紙を捨て、そんなことは時間の無駄だ、意味のないことだって気づいたんだ。そうしたのは幸いだった。その後カッレの最初のスプリットタイムが表示されて、みんな驚いたよ、どうやったらあれほどの速さで走れるのか、誰も信じられなかったんだ。奇跡だ。あんなにスピード出ていて、ハードタイヤでどうやってコントロールできているのか。そして彼はそれをやり遂げてステージを制した。僕には、カッレのこれまでで最高のパフォーマンスだった。なんていうか、彼は今までも十分いい走りをしているけど、今回はもう断トツでベストな走りだったよ」

―そのタイヤチョイスについて各チームが探り合い、オイットがカッレより先に自分のチョイスを決めたわけですが、ハードコンパウンドを選ぶことに迷いはなかったですか?

ラトバラ:「我々のもとにあった情報は明確にドライ・コンディションには当然ドライ用のタイヤというものだった。そして最後の最後にカッレのためにウェットタイヤを2本選ぶことにした。そうしたのは幸いだった。それがなかったら完全に失われていたかもしれない、その2本でちょっと助けられたと思う。ヒョンデはちょっと賭けに出たと言えるはずたが、結果的にその方が我々よりも良い選択となったようだ。我々はかなり自信をもっていたし、今回の雨が降ることを予想していなかったからかなりサプライズになったが、他の多くのドライバーにとってもサプライズだったと思う。これはとても予想も難しく、対策するのも大変だ。時々こういうことは起こるし、これがラリーであり、すべてに備えることはできない」

―昨夜、メディアゾーンでオイットと会話するのを見かけました、彼はあなたに何と言っていましか?

ラトバラ:正直に、元チームメイトで同じチームで走っていたわけだからね!それで僕のセリカでの走りとか古いクルマについて、とても率直な議論を交わしていたよ、なかなかいい話ができたよ」

―ポルトガルではトヨタは何台走りますか?

ラトバラ:「4台だ」

―4台目には誰が?

ラトバラ:「カッレ・ロヴァンペラ、エルフィン・エヴァンス、勝田貴元、そしてもう1台だ」

―もう1人のドライバーについて、サプライズはないですよね?それはあなただったりしないですよね?

ラトバラ:「それなら、なかなか良いサプライズになるね、でもそんなことはないと思うよ!残念ながら、今の時点で確かなことは言えない」