WRC2020/02/28

中止決断のエストニア、連盟の方針変更に憤り

(c)Rally Estonia

 公式WRCプロモーションイベントであるラリー・エストニアが突然のキャンセルを決定したことは、世界中のラリーファンに衝撃を与えることになった。

 この発表から一夜明けた木曜日、これまで沈黙を守ってきたラリー・エストニアのディレクター、ウルモ・アーヴァが声明を発表、エストニアASNの一つであるエストニア・オートスポーツ連盟の突然の方針変更に憤りをみせるとともに、連盟からの支援が得られない以上、今年のラリー・エストニアをキャンセルせざると得なかったと述べている。
(以下、ラリー・エストニアが公開したアーヴァの声明文より)

「我々主催チームは、これまでラリー・エストニアが成し遂げてきたことを非常に誇りに思っている。しかしながら、いまの状況を考慮した結果、2020年のイベントをキャンセルするしか道はなかった」とアーヴァは述べている。

「2019年にはすべてのWRCチームが参加して、WRCラウンドのほとんどの要素が含まれた最初の公式WRCプロモーションイベントとして開催され、5万人以上の観客が現場に集まり、この報道は世界中で約8,000万人の目に触れることになった。これはすべて、エストニア政府、WRCプロモーター、スポンサーとサポーター、地方自治体やいくつかの機関との協力によって開催が可能になった。なかでも、非常に重要だったことはエストニア政府からの支援であり、政府としての投資を保証してくれたことだ」

「2019年のラリー・エストニアは、実質数百万ユーロの経済的影響をエストニアにもたらした。そして、この成功によって、エストニアは将来のWRCを開催する有力な候補になり、エストニアのオートスポーツにとっても非常に重要な役割を果たすことになった。にもかかわらず、エストニアにWRCラウンドをもたらすことはもはや優先事項ではないというエストニア・オートスポーツ連盟の意見を理解することは非常に困難だ」

「今季のラリー・エストニアのわずか6か月前の2020年1月、連盟の委員会は競技を開催する新しい申請料の価格表を承認した。国際イベントの開催費用は2,000ユーロから100,000ユーロに引き上げられたが、これは驚くべきことに5,000%の上昇率だった。この費用は予算の観点からも、むろん法的な観点においても支払うことは不可能のものだ」

「これらすべてが連盟が戦略を変更したという明確な兆候だ。エストニアにWRCラウンドをもたらすという目標は、ラリー・エストニアと連盟の間で交わされた法的に有効な協定書にも記されており、相互の目標は、WRCプロモーター、エストニア政府、連盟およびラリー・エストニアが署名した協力覚書にも記されていることだ」

「いまここに挙げた、優先すべき順位、戦略、料金といった変更点はすべて、連盟として目標の実現に協力する意思がないという明確な兆候を示すものであり、彼らの声明はむしろ、ラリー・エストニアの国際的な成功はエストニアのオートスポーツに有害であると言っている」

「過去3か月間、ラリー・エストニアは解決策を見つけるためにあらゆることを試みたが、残念ながら、連盟は妥協案を見つけようとはしなかった。ラリー・エストニアのディレクターとして、私たちの背後にあるASNからの支援がなければ、目標を達成するために働くことは不可能だと確信し、こうした状況を考慮してラリー・エストニアの今季のキャンセルを決定するという発表に至ることになった。我々にはそうする以外に選択肢はなかった」