WRC2021/03/31

今季のジュニアWRCに8人がエントリー

(c)M-Sport

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 2021年のFIAジュニアWRC選手権では、経験豊富で強力な8名の若き挑戦者たちが栄誉を競う。

 セバスチャン・ローブがジュニア世界ラリー選手権(JWRC)で参戦したすべてのラウンドで優勝してタイトルを獲得し、輝かしいキャリアをスタートさせてから20年。当時はすべての2輪駆動マシンでのエントリーが可能だった選手権は、現在はフォード・フィエスタRally4のワンメイクで争われている。来季はWRC2とRally3で争われるWRC3にジュニア・タイトルがそれぞれ賭けられるため、2021年は2輪駆動マシンによる最後のジュニア王者が誕生することになる。

 今季のジュニアWRCは来月開催されるクロアチア・ラリー(4月22日〜25日)で開幕したあと、ラリー・デ・ポルトガル(5月20〜23日)、ラリー・エストニア(7月15〜18日)、イープル・ラリー・ベルギー(8月13〜15日)、ラリー・デ・エスパーニャ(10月14〜17日)という全5ラウンドで争われる。

 ジュニアWRCで3シーズン目を迎えるラトビア出身のマルティンス・セスクスは、昨年エストニアで初勝利を収め、4ラウンドのうち3ラウンドで表彰台を獲得して昨年のチャンピオンシップを準優勝しており、今年の最有力候補の一人だ。

「僕たちには3年間の計画があり、それは2年前のジュニアWRCからスタートし、最初の1年はWRCに慣れて経験を積むためのものだった。その年は上手くいかなかったが、昨年は強くなって戻ってきた。今は一つの目標に集中している。それはチャンピオンシップの首位を獲得することだ」と彼は語った。

 サミ・パヤリは、2019年のラリー・フィンランドでわずか17歳にしてジュニアWRCの舞台に登場した。彼は昨年の選手権で3位に入り、ルーキー賞を受賞しており、2021年も母国フィンランドで素晴らしいスタートを切っている。

「僕たちは2つのラリーをこなし、大きな問題もなく両方(自分のクラスで)優勝した。今はいい感じで、このままいけばあまり問題はないはずだと思う。今はより自信を持てていて、マシンのこともよく分かっているので、快適だ」とパヤリは語った。

 ルーマニア出身のラウル・バディウはジュニアWRC参戦4年目にして自身最後のジュニアWRCシーズンを迎える。またエストニア出身のロバート・ヴィルブスも参戦する。ヴィルブスは昨年、クラウドファンディングを利用して、ジュニアWRCの中で地元のラリーにのみ参戦した。その期待を裏切ることなく、ラリーの大半をリードしていたが、残り3ステージでパンクしてしまい、勝利を逃した。

 昨年のスウェーデンでのジュニアWRCデビューを果たしたフィンランドのラウリ・ヨーナも、同様にデビュー戦において最終ステージでのパンクによって3位を失い、夢の表彰台に立つことができなかった。その後、母国でジュニアタイトルを獲得し、フライング・フィン・フューチャー・スター賞を受賞している。

 アルスター出身のジョン・アームストロングは、最も経験豊富な参戦者の一人だ。2018年のWRC eSportsチャンピオンである彼は、2016年にフィエスタ・トロフィーで2度の優勝を果たし、翌年にはWRC2のスペインラウンドでトップ10入りを果たした。彼の昨年のキャンペーンはスウェーデンでの大クラッシュにより終了していた。

 その彼でさえ、経験という面ではマルティン・コチには適わない。スロバキア出身のコチは、2012年から19回のジュニアラウンドに出場し、2014年にはチャンピオンシップ3位、2016年には2位を獲得している。

 ジュニアWRCへの出場経験がない唯一のドライバーはウィリアム・クレイトンで、英国と母国アイルランドの国内選手権以外では、初めての本格的な国際キャンペーンに臨む。

 ジュニアWRC選手権のマネージャーを務めるマチエイ・ヴォーダは、2021年のプログラムは大きく開かれたものになると考えている。

「去年のチャンピオン候補が、過去のチャンピオン候補や有名なジュニア選手権の選手たちと対戦することになる。通常、第1ラウンドが始まる頃には、誰が最強の候補者なのかがはっきりしてくるが、今年はそうではない。全員にチャンスがあり、激しいシーズンになるだろう」と彼は語った。