WRC2021/01/26

勝田貴元、難関モンテで自己最高位の6位を獲得

(c)Toyota

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 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの勝田貴元が、世界ラリー選手権開幕戦ラリー・モンテカルロにトヨタ・ヤリスWRCで参戦し、昨年の総合7位を上回る、WRC自己最高位の総合6位で完走し、2年連続で選手権ポイントを獲得することになった。

 WRC最古の歴史と伝統を誇るラリー・モンテカルロは、今年新型コロナウイルスの影響を受け、無観客での開催となるとともに、フランス全土に夕方6時以降の外出禁止令が発令された影響もあり、ステージの総走行距離は大幅に短縮、シェイクダウンも設定されなかったため、勝田は今年、雪のないターマックでテストする機会がないまま最初のステージに挑むことになった。

 勝田は昨年、初めてヤリスWRCで出場したモンテカルロで総合7位でフィニッシュしたが、WRCの中でもっとも難易度の高いイベントとして知られるモンテカルロの非常にトリッキーな路面コンディションでの経験を積むため、今季もまた完走を最優先しながらも、昨年以上のペースで走り続けることを目標に掲げ、順調にステージを重ねていくことになった。

 今シーズンより、タイヤのサプライヤーがピレリに変わったこともあり、序盤はその特性の理解に力を注ぎ、2つステージで構成された初日のデイ1では総合11位につけることになった。

 今回、勝田のグラベルクルーは、2017年にトヨタでワークスドライバーを務め、勝田のインストラクターも担当しているユホ・ハンニネンとコドライバーのクレイグ・パリーが務めており、彼らの伝える最新の路面情報を参考に勝田とダニエル・バリットはペースノートをアップデートし、ステージに集中することになった。

 勝田は、ラリー最長の1日となったデイ2では終盤の2つのステージで5番手、4番手タイムを記録して総合8位に浮上、デイ3では総合6位に順位を上げ、最終日のデイ4も最後までしっかりと順位を守りきって総合6位で完走し、メンタルとドライビングの成長を結果で示すことになった。

 勝田は、ラリー中も繰り返しグラベルクルーがもたらす正確な情報に感謝の言葉を語ってきたが、そのおかげで難しいステージでも自信を持ってドライビングができるようになったと戦いをふり返っている。

「この週末はトリッキーなコンディションのラリーを戦う中で多くのことを学び、様々な経験を積むことができました。少しずつスピードも上がっていき、自信もついていきました。正直なところ、序盤はまったく自信を持てませんでした。新しいタイヤの特性を理解する必要がありましたし、コンディションや路面が変化するセクションでは慎重になり過ぎていました」

「それでも、グラベルクルーの助けを借りて、より多くの情報をペースノートに書き加えられたことで、自分のドライビングに自信を持てるようになりました。素晴らしい仕事をしてくれた、僕のグラベルクルーとチームに感謝します。フラストレーションを感じるシーンも何度かありましたが、ラリーを最後まで走り切り、このような形でシーズンをスタートできて良かったです。

 インストラクターを務めるハンニネンは次のようにコメントしている。

「今週末のタカの戦いにはとても満足している。12月にテストを行なった時は真冬の路面コンディションで、彼はスタッド付きのスノータイヤを履いて走った。そのため、今回はターマック用のピレリタイヤの経験が全くない状態でのラリースタートとなり、初日は本当に大変だったと思う。しかし、コンディションが変わりスノータイヤを履くと自信がついてきて、ステージタイムはすぐに上がっていった。私は昨年も彼のグラベルクルーとして帯同したが、昨年と比較すると、自信と経験を積んだことでより詳細なコンディション情報をペースノートに書き込むことができるようになっていた。とても良い形でシーズンをスタートできたので、次戦には自信を持って、よりリラックスして臨むことができるだろう」

 今季ヤリスWRCで全戦に出場する勝田の次戦は、2月26日から28日にかけて開催されるWRC第2戦アークティック・ラリー・フィンランドとなる。

 勝田はこれまでに同イベントが開催される北極圏のロヴァニエミで開催されたアークティック・ラップランド・ラリーに3度出場経験があるほか、2019年3月にはヤリスWRCを駆ってウィンターコンディションで行われたフィンランドのイタ・ラリーに参戦して、ピレリのウィンタータイヤのSottozeroを経験している。