WORLDWIDE2016/09/27

大輝・貴元、武者修行2年目の手応え実感

(c)TOYOTA GAZOO Racing

 TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムの育成ドライバーとして欧州武者修行を続けてきた勝田貴元と新井大輝が、9月23〜24日に開催されたフィンランド・ラリー選手権最終戦のピレリ・ラリー・タンペレに参戦、新井は総合3位、勝田も総合11位、クラス8位で完走し、今シーズンの実戦トレーニングを締めくくった。

 フィンランド・タンペレ市を中心に行われたピレリ・ラリー・タンペレは、過去にはWRCのフィンランド戦でも使用された伝統的なステージなども含む9SS/120.59kmで競われた。 非常に難しいとされるラリーである。 昨年は二人ともにリタイアを喫したが、その後一年間積み重ねたトレーニングの成果を発揮すべく、今年は自信を持って臨むことになった。だ

 新井は、初日の夕方に行われた2つのステージを終えてクラス6位、総合8位につけてスタートすることになった。彼は、二日目のオープニングSSで地元ドライバー達を抑えていきなりトップタイムを出して追い上げ、終盤のSS8とSS9でもトップタイムを記録し、総合3位でフィニッシュ。優勝したフィンランド・チャンピオンのユハ・サロとは9.6秒差、2位のアリ・ヴィハヴァイネンとは僅か1.6秒差であった。

 新井は、シーズン最終戦での表彰台はコドライバーのグレン・マクニールとこれまで色々工夫してきたペースノートが完璧に働いた結果だとラリーを振り返っている。

「SS4でハーフスピンしてしまうなど、トップとかなり離されてしまったステージもありましたが、最後のSS8とSS9で差を詰めることができて良かったです」と新井は語った。

「ペースノートの表現について、これまでグレン(・マクニール)と2人で試行錯誤しながら色々やってきたことがうまく機能しました。それが良い結果へとつながり、自信にもなりました。次の課題はもっと自然に運転ができるようになること。また、地元ドライバー達がどう走っているかを考えて走ることができれば、次はもっといい勝負ができると思います」

 一方、初日をクラス13位で終えた勝田も、二日目には得意とするターマックステージのSS5でトップタイムを出したほか、全ステージをうまくコントロールして走りきり、クラス8位、総合11位までポジションを上げてフィニッシュしている。

「今回はペースノート作りがとても難しく感じました。それでもダニエル(・バリット)の助けもあって、自分たちのノートを作ることができたと思います」と勝田。

「ダニエルからから多くのことを学ばせてもらいました。一年前のノートでは完走できませんでした。最後のステージではタイヤをバーストさせてしまいましたが、最後まで走り切ることができて本当によかったと思います。自分の課題も具体的に分かってきました。少しでも多くの経験を踏んで、一つ一つ改善し、自分の成長につなげたいと思います」

 二人の欧州トレーニングプログラムにおいてチーフインストラクターを務めるヨウニ・アンプヤは、全9ステージのうち4つのステージで日本人ドライバーがトップタイムを出したことについて、「二人がそれぞれトップタイムを出したことは驚きではなく、やるべきことを着実にこなした彼らの当然の結果である」と両ドライバーを称えた。

「新井が2つのステージでかなりのタイムロスをしてしまったことはとても残念だったが、ペースを取り戻してからの彼の走りは素晴らしかった。勝田の走りは彼のペースノート経験の少なさがまだ影響しているが、今後さらに経験を積んでいけば競技スピードは自然についてくる」と分析し、両ドライバー共に今シーズンの育成目標レベルに到達したと満足した表情を見せた。