ERC2018/06/03

波乱続出アクロポリス、マガラエスが首位浮上

(c)ERC

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 ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第3戦アクロポリス・ラリーは、初日のトップ3が朝のループでそろってトラブルに見舞われるサバイバルな展開となり、慎重なアプローチに徹したポルトガルのブルーノ・マガラエス(フォード・フィエスタR5)が二日目を首位で終えることになった。

 ラミア南部の岩だらけのタフなステージに戦いの舞台を移したアクロポリス・ラリーの二日目、いきなりステージは鋭い牙をむきだしてドライバーたちに襲いかかった。

 予選でトップタイムを叩き出し、初日3位につけていたシュコダ・モータースポーツが支援するユーソ・ノールドグレン(シュコダ・ファビアR5)がオープニングSSのニュースアンフィサをスタートして3km地点でルースグラベルのなかに潜んでいた鋭い石で右フロントタイヤをパンク、彼はここで1分あまりを失って19位に後退してしまう。さらに彼の災難は続き、次の25kmという長いSS4ドロソホリでダブルパンクに見舞われてステージをゴール、「(スペアはないので)走り続けることはできない。どうしようもないよ」と天を仰ぐことになる。

 オープニングSSでベストタイムを刻んでこの日も快調なスタートを切ったのは、初日のロングステージでライバルたちを1kmあたり1秒以上突き放す信じがたい速さをみせたアレクセイ・ルクヤヌク(フォード・フィエスタR5)。だが、彼もまた続くSS4ドロソホリで石を避けきれずにサスペンションを破損、タイヤが曲がった状態のままで19分遅れてどうにかステージをゴールするものの、彼は次のステージへと向かうことを断念、ラミアのサービスに帰還することを選んだ。

「それほど大きなミスをしたつもりはない。ゆっくり走っていたし、タイヤを守るために慎重に行っていたんだ。だが、クレストの先の左コーナーのイン側に大きな石があった。まったく気づかなかったよ。衝撃でサスペンションアームが折れて、タイヤが開いてドライブシャフトも失ってしまった。なんとか応急修理したが、あまりにも失ったタイムが大きいので、このまま走るのを諦めることにしたんだ」とルクヤヌクは肩を落とした。

 ルクヤヌクのトラブルによってオープニングSSを終えて2位に浮上したノルウェーのエイヴィンド・ブリニルドセン(フォード・フィエスタR5)が首位に立つかに見えたが、彼もまたSS4でパンクに見舞われてしまう。タイヤ交換のためにマシンをストップしたため、彼は3分近くを失い、8位まで後退することになった。

 この日をトップ3でスタートしたドライバーたちが総崩れしたことで、SS4を終えて首位に立ったのは、初日を終えて4位につけていたポルトガルのブルーノ・マガラエス(シュコダ・ファビアR5)。彼はSS5でベストタイムを刻んで、ポーランドのグジェゴシュ・グジェブ(シュコダ・ファビアR5)に53.7秒の大差をつけてラミアのサービスへと戻ってきたが、彼もまた何度か集中力を失いそうになったほど危なかったと首を横に振った。

「最悪だった昨年に比べれば、路面はそう悪いわけでないが、とにかく石が多い。そこらじゅうが石だらけだ。生き残ることだけに集中しており、まったく攻めてはいない」

 マガラエスは午後のループではハードタイヤをチョイス、グリップに苦しむことになったが、パンクすることなく首位を守りきっている。

「とにかくパンクしないように慎重に行ったよ。ハードタイヤだったので、ベストな走りとはいかなかったが、ほかのドライバーに対していいリードを築くことができた。生き残ることだけがすべてだったよ」

 厳しいコンディションのステージで耐えながらも2位につけていたポーランドのグジェブはこの日の最終ステージで岩にヒットして左フロントホイールを破損、3分30秒あまりをロスして7位まで後退することになり、2年連続でのアクロポリス表彰台の野望は砕け散ることになった。

 グジェブの後退で、SS1でトップタイムを奪ってラリーをリードしたハンガリーのノルベルト・ヘルツィヒ(シュコダ・ファビアR5)が1分4秒差の2位へと浮上、ポーランドのフーベルト・プタシェック(シュコダ・ファビアR5)が3位で続き、ERC初表彰台の夢に近づいている。

 パンクによって8位まで後退したブリニルドセンはSS5でインターコムのトラブルはあったものの、SS6でベストタイムを奪って巻き返しを図ったが、最後のステージでは擦り切れたタイヤに苦戦して5位でレグ2を終えている。

「実際にはひどいパンクだったわけではない。スローパンクだった。だが、僕らはインターコムに問題を抱えており、ジャンクションでオフしてしまった。それで状況がひどくなる前にタイヤ交換を選んだが、次のステージでも完全にインカムなしで走らなければならなかった。これで3分遅れだから悪くないよ。明日もまだ長いし巻き返しを狙うよ」とブリニルドセンは語っている。

 また、ERC2ではハンガリーのティボール・エルディJr(三菱ランサーエボリューションX)がトラブルのない走りを続け、初日からのリードをキープしている。

 アクロポリス・ラリーの最終日はラミア北部の4SS/81.00kmが予定されている。