WRC2022/04/23

1分リードのロヴァンペラをラトバラが絶賛

(c)Toyota

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 雨で泥がコースにかき上げられた路面に苦しんだライバルたちと異なり、選手権リーダーとして1番手に走行順でコースに挑んだカッレ・ロヴァンペラはもっともクリーンな路面に助けられたため、初日を終えて2位のティエリー・ヌーヴィルに1分4秒差をつけることになった。

 世界ラリー選手権では、ラリー終了時に1分以上のリードを持つことも稀だが、ましてや初日を終えた後ではそこまで差が開くことはほとんどないものだ。2015年のラリー・アルゼンチンでクリス・ミークが初日に60秒以上の差をつけてリードして以来、ロヴァンペラは、およそ7年ぶりにこの快挙を成し遂げた。しかも彼は昨年のクロアチアでは1ステージも走り切ることなくクラッシュでラリーを終えており、有利な走行条件だったとはいえ、その経験不足をおぎなうパフォーマンスをみせたことに、チーム代表のヤリ-マティ・ラトバラは「WRCキャリアで最高の1日」と絶賛することになった。

「これほど難しいコンディションのラリーは珍しく、このような時は波乱の展開になることが多いが、今日のカッレの走りは本当に素晴らしかった」とラトバラは語った。

「彼は昨年、このラリーをたった5kmしか走れなかったので、このようなパフォーマンスを発揮するとは予想していなかった。とても印象的な走りだったし、彼が大きな自信を持って、自分の役割を果たしてくれていることを嬉しく思う。一日を終えて我々のクルマがトップに立っているのは喜ぶべきことだ」

 これほど大きなリードを生んだのは、ロヴァンペラのトップ争いのライバルだった2位につけるヌーヴィルが、オルタネーターの問題からデイサービスに遅れてチェックインしたため40秒のタイムペナルティを課されたことも大きい。もちろんロヴァンペラも何度かマシンを滑らせて危ない場面をみせることもあったが、リラックスしてドライブを続けている。

「朝のスタート地点をうまく利用できたし、このトリッキーな状況やコンディションの中で、1日中マシンに自信を持って走れたことが、結果につながったと思う」とロヴァンペラは一日をふり返った。

「このコンディションでは、いろいろな危ないことが起こるだろうと思っていたが、実際にはスピードとコンディションをうまくコントロールして、完璧なスピードで走ることができたと思う」

 チームメイトのエルフィン・エヴァンスをはじめとして多くのライバルたちが、「どこでパンクしたのかわからない」と嘆くほど、多くのパンクが発生したが、ロヴァンペラはレインタイヤがいつものスリックタイヤよりも耐久性に課題があると考え、危険なカットを避けるような走りをしたと冷静に分析している。

「2回目の走行でも、とにかくクリーンに行ってカットを回避しようとしたんだ。この(レイン)タイヤはかなりもろかったからね。確かにかきだされたマッドグラウンドを走るのは遅いけれど、パンクをしなかったのはいいことだ」とロヴァンペラは語った。

「明日も長い一日だし、何が起こるかわからないので、集中力を維持してペースをキープし、問題が起こらないようにする必要がある。コンディションがドライになり、より楽しんで走れるようになることを期待しているよ」