ERC2019/08/18

ERCチェコ、コペツキが5年連続勝利にむけて独走

(c)ERC

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 ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第6戦チェコ・ラリー・ズリーンはレグ1を終えてシュコダ・モータースポーツのヤン・コペツキ(シュコダ・ファビアR5エボ)が1分近い大差をつけてトップに立っており、一時、首位を争ったサンテロック・ジュニアチームのアレクセイ・ルクヤヌク(シトロエンC3 R5)は終盤のパンクバーストに起因するサスペンション破損でリタイアとなっている。

 チェコ・ラリー・ズリーンは、金曜日夜にズリーン市街地で行われたスーパーSSで開幕、ベストタイムを奪ったコペツキが首位で発進することになった。しかし、土曜日朝のオープニングステージのSS2でベストタイムを奪って速さを見せたのはルクヤヌク。彼はSS3ではわずかなスライドによるタイムロスがあったものの2番手タイムを奪い、コペツキを捕らえることに成功する。しかし、このSS3を最速で駆け抜けたERCアンダー28ジュニア・チャンピオンであるニコライ・グリアジン(シュコダ・ファビアR5)が首位に立つことになった。

 新旧のロシア出身ドライバーによる首位争いになるかにも見えたが、ルクヤヌクはSS4で2つめのベストタイムを奪って首位に浮上した直後の SS5でグリアジンが痛恨のパンク、タイヤ交換によって2分の遅れを余儀なくされてしまった。勝利が絶望となってしまったグリアジンは、ステージエンドで悔しそうな表情でパンクの状況を説明した。「スタート後、タイヤがリムから外れてしまった。僕らはクリーンに走っていたし、何もヒットしたはずがないのに、そうなってしまった。すべてを失ってしまったよ」

 この SS5でベストタイムを奪ったのはコペツキ。朝から良く晴れた朝になったとはいえ、道路の表面にはうっすらとダストが残っており、彼はスリッパリーな路面で慎重なスタートを切ることになったが、ここでは今日初めてのベストタイムで、首位につけるルクヤヌクの0.4秒後方に迫ってきた。

 コペツキは午後のループの最初のステージでベストタイムを並べてルクヤヌクを抜いて首位を奪還、じわじわとルクヤヌクを引き離しにかかる。ルクヤヌクは「路面がかなりダーティなのでリスクは負ってない」と語っていたものの、予期せぬトラブルが襲いかかる。

 彼は SS8をスタートしてすぐにスローパンク、そのままゴールを目指すことを選択するも、バーストして吹き飛んだタイヤがサスペンションのリンケージを壊してしまい、せっかくステージを走り切ったもののリタイアとなってしまった。

 ルクヤヌクとグリアジンという優勝争いが期待された二人が脱落、コペツキは後続に57.4秒をリードしてレグ1をゴール、5年連続の勝利に近づくことになった。「ロシアの二人がミスでいなくなったのは残念だよ、素晴らしい戦いだっただけにね。危険な場所はどこにでもある。この最終ステージにもクレストにあとに酷いコーナーがあった。かきだされた泥がそこらじゅうにあったんだ!」

 コペツキがラリーを独走するいっぽう、その後方ではERC1ジュニア選手権をリードするTOKスポーツのクリス・イングラム(シュコダ・ファビアR5)と選手権を争うACCRチェコ・ラリーチームのフィリップ・マレシュ(シュコダ・ファビアR5)が素晴らしいバトルを見せることになった。

 地元チェコのマレシュを上回る速さをみせたイングラムは、SS7のパンクでマレシュにリードを奪われたものの、陽が落ちてナイトステージとなった最終ステージのベストタイムでふたたびマレシュを抜くことに成功、ルクヤヌクのリタイアによって総合2位、ERC1ジュニアのトップに立っている。

 しかし、マレシュも3.8秒差の後方に続いており、さらに彼にとってはチェコ選手権のタイトル争いの行方も気になるところだが、コペツキがリードをしている以上、逆転タイトルの望みはない。

 ユーロオイル-インベルトチームのヴァーツラフ・ペッシ(フォード・フィエスタ R5)はSS4で縁石でホイールを壊して6位までポジションを落としたものの、マレシュの2.5秒差の4位につけており、表彰台のチャンスは十分に残された状況だ。

 5位にはクレスタレーシングのトマーシュ・コストカ(シュコダ・ファビアR5エボ)、6位にはマリヤン・グリーベル(シュコダ・ファビアR5)が続き、パンクで遅れたグリアジンは7位でレグ1を終えている。

 また、前戦まで ERCのドライバーズ選手権で6ポイント差でルクヤヌクを追い掛けているウーカシュ・ハバイ(シュコダ・ファビアR5)はSS7でオフして立ち木にクラッシュ、コドライバー側のドアに大きなダメージを負いながらも10位で走り続けている。

 チームSTARDから出場する新井大輝(シトロエンC3 R5)はSS2ブシェゾワで突然タイヤのデラミネーションに見舞われて高速左コーナーでコースオフ、リタイアとなってしまった。ERC1ジュニア選手権でシーズンを3位で終えるチャンスもあったがこれで状況は厳しくなってしまった。

 R2マシンで争われるERC3ジュニアは、ラリーチーム・スペインのエフレン・ヤレナ(プジョー208 R2)がリード、ERC2とアバルトカップはアンドレア・ヌチータ(フィアット124アバルトRGT)がトップに立っている。