シトロエンが今季終了と共に長きに渡る世界ラリー選手権参戦に終止符を打つ可能性があるとの噂が囁かれているようです。
イヴ・マトンがシトロエン・レーシングを辞め、FIAの新しいラリー・ディレクターに就任するという衝撃的なニュースが今週、世界を駆け巡りました。通算100勝という目が眩むような記録まであと2勝に迫ったシトロエンは、選手権最下位という昨年の汚名を晴らすために、2018年こそチームとしてのプライドを賭けてタイトル争いをすることが期待されていたはず。それなのに開幕戦ラリー・モンテカルロまであと2週間を切ったこのタイミングで、まさかチームを復活させる責務があったトップがチームを離れるなんて!
まるで仕事を途中で放りだしたかのように思われても仕方がないとも思えるマトンのチーム離脱から、これまで漠然と囁かれていたシトロエンへの不安が一気に噴出してきたかのように思えますが、その兆候は昨年の秋あたりから少しずつ漂い、セバスチャン・オジエの獲得を実現させることができなかったあとではマトンは完全にチーム運営に対して情熱を失っているとの決定的な情報が聞こえてきていました。
グループPSAのトップがオジエ獲得を最優先に指示したというから、さぞかしオジエに対するシトロエンのオファーは高額だっただろうとも噂されました。それを蹴るなんて、ワールドチャンピオンはいくらほしいんだろうなんて後ろ指を指されていたりもしましたが、信頼できる情報筋によれば彼へのオファーはクリス・ミークと同額だったにすぎないようです。5年連続王者への提示がですよ! さらにオジエの気持ちを動かすことができなかった決定的な要因となったのは、けっきょくのところお金などではなく、シトロエンから長期の保証が得られなかったことが最大の理由だったようです。
ダカールのサービスでは、今回をもってダカールから撤退するプジョーに代わり、来季からシトロエンがダカールに復帰するのではなかろうかとの噂も囁かれていたようです。そのようなことは過去にもあったことであり、同様にWRCにおいてもシトロエンに代わってプジョーがWRカーで参戦するかもしれないとの予測もあるようです。
グループPSAの2つの会社のモータースポーツが再編になるというのはもっともらしい話ですが、いまの段階ではまだはっきりした情報はなにもなく、ただ漠然とシトロエンへの将来への疑問と不安の声が囁かれはじめているにすぎないことをお断りしておきます。
もしかするとマトンはすでに昨年、そうした兆候を見て、ヤルモ・マホネンに代わってFIAのラリー・ディレクターを引き受けることを決めたのかもしれません。マトンがFIAでWRCをどのような未来に導くのか注視しつつ待つとして、まずは抜け殻のようになったシトロエンのこれからが気になります。