さて、ロールケージのパッドを準備している間にもコクピットの用意が着々と進んでいます。
こちらは新しいケージが仮組みされたときの状態です。うれしいので、ついでに苦労して手に入れた無線も仮組みしてみました。
台座は残っていたのですが、マウントがなかったので、当時の写真を参考にしてアルミ板を曲げて自製しました。いい感じです!
前のロールケージを留めていた跡に残っているシリコンゴムをスクレーパーでこそぎ落として、フロアに残っていた大量の土と泥を洗い落としました。前のオーナーの要望でフロアに防音の内装が貼られていましたが、床に錆を作る原因にもなっていたのでこちらは外してしまいました。すると、石を巻き込んでベコベコにゆがんだスパルタンなフロアが表れました。
ああ、すべてをはぎとったコクピットに包まれているとまるで戦闘機のように感じます。
それにしてもグループBのサファリマシンに比べて、このレオーネは本当に市販車にきわめて近いことにあらためて驚かされます。
もちろん当時のグループAラリーカーは基本的にはノーマルカーの構造を生かすしかなく、シートレールと称したフレームを入れることもNGでした。スポット増しなどの補強はもちろんあるけれど、補強によって重量が増えることより、可能な限り軽いままで仕上げている鮮明な意図を感じます。このクルマはサファリで勝つことを目的として生まれたのだとはいえ、あくまでも過酷な環境での量産車の耐久実験が主眼であったことがよくわかります。
このクルマに乗っているとそのフィーリングがGC8の初代RAに似ているなあと感じることがあります。このクルマが空中戦で鍛えられた中島飛行機の血を引いているように、レオーネという名前は消えたけれど、サファリで鍛えられたこのマシンの軽快で粘るようなフットワークはたしかに次の世代のマシンに受け継がれているように感じます。
錆びているフロアにサンダーをかけ、開いていた小さな穴を溶接で埋めます。幸いにも床が抜けそうなほどの傷みはありませんでした。
残念ながら、ボディのあて板は残ってなかったので、FISA(FIAの前身)のホモロゲーションペーパーに記されている寸法通りの型紙をつくって、製作しました。やっぱりいつか公式なヒストリックイベントに出場したときに車検で文句付けられないようにね!
さあ、これでロールケージを組む準備が整いました! つづく!