やっぱりラリーが好きなのだっ!〜編集代表のラリーな日々ブログ〜

2017年6月アーカイブ

選手権はヌーヴィルに有利?

いよいよポーランドで後半戦がスタートするので、今日は、ドライバー選手権の行方について考えてみました。いまのところ、選手権リーダーはセバスチャン・オジエ(141ポイント)、2位はティエリー・ヌーヴィル(123ポイント)、3位はオット・タナク(108ポイント)、4位はヤリ-マティ・ラトバラ(107ポイント)と続き、オジエとヌーヴィルのトップ2人による争いとなっています。
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ヌーヴィルは開幕2戦でクラッシュするという最悪のスタートをしたのもかかわらず、7戦を終えてオジエまで18ポイント差まで迫ってきています。スウェーデンを終えてオジエに36ポイント差を付けられていたものを、そのあとの5戦で115ポイントを加算、オジエとの差を半分に縮めたのですから、いまの勢いがあればあと5戦で追いつく計算も成り立ちます。

ヌーヴィルの開幕2戦とそのあとの5戦をふり返ると興味深い事実が浮かび上がってきます。

ヌーヴィルは開幕戦モンテカルロではクラッシュするまでオジエに対して50秒もの大差をつけてリードを奪っていました。スウェーデンでもヤリ-マティに対して43秒のリードをしていてつまらないミスでリタイアとなっています。この開幕2戦でリードしたステージは23SSに及んだにもかかわらず、そのあとの5戦ではわずか7SSをリードしたにすぎません。

彼はこの5戦ではともに表彰台を獲得して、うち2回は優勝を飾ってはいますが、リードしたステージの数字からも、優勝することより、より手堅い結果を優先してきた戦略があったことが読み取れます。無理して追わなくても、すぐに追いつけるという自信がヌーヴィルのいまの強さを支えているのでしょう。

オジエは逃げることのプレッシャーなんて感じているでしょうか。いまはまだそうではなかったとしても、勝負どころでのフィエスタの信頼性がキーワードになってくるような気がします。コルシカの油圧と電気系の問題、アルゼンチンのリヤデフ・・・オジエを苛立たせているのはそれだけじゃないと思うけど、それと僕は個人的には、ソフトタイヤがよりハードになったことがオジエのペースが上がらない原因になっているような気がします。

さあ、ポーランド、どんな後半戦のはじまりになるのやら!

話題もりだくさんのポーランド。

高速ステージ育ちのヤリスがもしかして2勝目なるのか?
ヌーヴィルがどこまで選手権リーダーに迫れるのか? 
エヴァンスとDMACKがもしかしてWRC初優勝を飾る?
好調タナクがもしかして連勝なんてことも? 
ちょっと気になるオジエの去就、ひょっとしてトヨタ入り? 
ミケルセンがC3の2戦目で実力発揮なるか? 
ポーランドでステージ最高速記録更新か?
超新人類ラッピが表彰台なるか?

とまあ、挙げてみればきりがないくらいに楽しみな週末になること間違いなしのポーランド!

個人的にはWRカーデビューのスニネンの走りにも注目したいな。高速ステージのテストがないまま、ぶっつけ本番だけど、まずはここまで辿り着いた彼の走りをチェックしてみたいと思う。
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昨年のスウェーデンでもしスニネンがWRC2にノミネートしていたら、選手権でラッピを上回って王座を獲得していたかもしれない、とかタラレバ言っても仕方ないけれど、まあ、要するに次世代のフライングフィン時代を築くはずのラッピとスニネンの二人にはこれからも絶対に注目してほしいと思う!

来年こそ勝利を!

あれだけ手を尽くして、それでもなお想像を絶することが起こるのがモータースポーツだ。トヨタの今年のルマン24時間レースは、あらためてこの世界の非情さを証明するものになってしまったように思う。
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WECのシリーズとルマンの予選までは圧倒的な速さをみせたトヨタですが、6時間でも8時間でもなく、ましてやクオリファイのスプリントでもなく、やはり24時間で勝つためにはさらなる厳しい壁があるような気がします。

マシンを止めたドライバーも無念だろうけど、この日のためにマシンをつくってきたエンジニアたちのことを考えるとやりきれない思いがする。

ゴールはさみしいものになるかと想像していたけど、最後までアストンとコルベットの戦いに手に汗握ることになるなんて! 心底しびれました! 勝ち続きじゃなくて、敗北のドラマがレースをいっそうドラマチックにさせるのだと思う。

負けたレースからトヨタがなにを学ぶだろうか。来年こそ、喜びの涙を流せるレースを見たいと思う。

とんでもないヤツが現れたもんだ。

録画していたJスポーツのサルディニアLIVEをやっとチェックできました。タナクの初優勝のゴールシーンをもう一度見たかったのですが、やっぱり熱いものがこみ上げてきますね。

でも、タナクは意外にもクールでしたね。もっと喜びを爆発させるかと思ったけど、すでに勝利を確信していたせいか・・・彼らしいと言えば、彼らしいんですけどね!
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さて、最終ステージのパワーステージで、タナクが歴史的な初勝利を飾ったこと以上に、衝撃だったのはわずかWRカー2戦目にしてエサペッカ・ラッピがパワーステージ・ウィナーに輝いたことでした。

6番手というスタートポジションはとくに有利な路面だったわけではなく、朝のステージでうまくタイヤを温存できたことがいいタイムにつながったとラッピは分析しています。ラッピの速さにについて、トップドライバーたちはすでにそれまでの2日間で見抜いていたでしょうけど、まさかルーキーが意のままにヤリスのスピードを引き出してパワーステージを制することになるなんて心底の驚きだったでしょう。

このパワーステージのタイムはすでに彼がただのテストドライバーではないことを証明するには十分なものでしたし、初日のギヤボックストラブルがなければ2戦目で表彰台を達成できていた可能性も非常に高いと思います。

チーム代表のマキネンは、彼をこのあと全戦で乗せたいと計画外だった最終戦オーストラリアへの参戦についても実現させたいと語りました。ラッピのチーム加入については、フライングフィンだけを重用するマキネン采配を疑問視する声もありましたが、こんなにあっさりと、マキネンの目が正しく、僕らの心配がまったくの杞憂にすぎなかったことが証明されるなんて! 今年のWRCはなんだかひと味もふた味も違いますが、参戦一年目のトヨタに向けてなんだかいい風が吹き始めたことだけは確かに言えるかもしれません!

今年の海はMスポーツがひとり占め。

ヤリ-マティの追撃から逃げ切り、タナクが見事、WRC初優勝を飾ってくれました!

オープニングSSで 9秒近く縮まったときには、スウェーデンのヤリ-マティの勝ちパターンが一瞬脳裏をかすめましたが、「今度こそ!」というタナクの思いが伝わってくるかのような堂々とした勝利でした!
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タナクは昨年のポーランドで優勝を逃したときには大泣きしたけれど、あのとき、あのような悔しい思いをしたからこそ、その経験が今回の勝利への原動力へとつながったのでしょう。

サルディニアの勝者と勝利チームには、ポディウムのあと、おなじみとなった最高のご褒美が! 
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最初はもちろん、タナク!
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気温40度を超えるコクピットとは別世界でしょう!
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そして、チーム全員が続々とダイブ!
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苦労が報われる瞬間です。
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なんて気持ちよさそう! おめでとう、タナク!

ああ、ミークがまたしても!

アルゼンチンで大きな横転でリタイアとなったミークは、ポルトガルの初日にまたも首位からクラッシュ、このサルディニアでは「今度こそポジティブな流れを再び取り戻すことに完全に集中している」とスタート前に語っていたにもかかわらず、
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またも首位からクラッシュとなってしまいました。なんとかサービスに帰ってきたものの、ロールバーにダメージがあり、これでラリーを終えることになってしまいました。
 
ふりかえってみれば、ミークは、モンテカルロで1回、アルゼンチンで2回、ポルトガルで1回と都合4回の続行不能となったクラッシュを喫しています。

さらにリタイアに至らなかったものを数えると、スウェーデンのコースオフ2回、優勝したからよかったもののメキシコのゴール目前のコースオフ、さらにスウェーデンでのプレテストで1回の横転を喫しているため、イベントの数を上回る8回くらいやらかしている計算です。

エンジンを壊して首位からリタイアしたコルシカをカウントするのは彼にとっては酷かもしれないけど、チームとの信頼関係を考えるとこんなはずではなかったではもはや済まされないレベルだ。壊れたクルマを直してきたメカニックたちに見放されては、失った運も帰ってはこない。なんとか次戦で立ち直ってほしいものです・・・。

なぜ、フォルクスワーゲンR GmbH ?

フォルクスワーゲンに4連覇をもたらした名将カピトがマクラーレンのF1チームから古巣に帰ってきました。あれやこれやがあって、VWのF1参戦計画が幻と消えたために彼の役割が終わったんじゃないか、ともフォーミュラEじゃないかとか噂はいろいろありますが、いずれにしても、彼がなぜグループ会社のVW R GmbHのディレクターに就任したのかまだはっきりとはわかっていません。

WRC参戦計画でその輝かしい成績を除いてまったくの誤算だったことは、おもったほどVWのRブランドが高性能スポーツであるというイメージを定着できないままに終わってしまったことだったのかもしません。

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2012年末にモナコで公式発表されたポロR WRCのボディにデカデカとRが描かれていたはずが、年を追うごとにそれはどんどん小さくなり、とうとう2016年のマシンからはRのマークそのものが消え、さらに2017年のWRC参戦マシンはポロGTI WRCという名前になるんじゃないかという噂でした。まさかとは思っていたけれど、ペター・ソルベルグの世界ラリークロス選手権のマシンがポロGTIという名前になったし、TCRもGTI TCRになったし、もはやVWにとってのイチオシ高性能ブランドはRではなくGTIになったことは明らかなのです。
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VW役員のなかにはWRC参戦前からRのことを快く思っていない人もいたと聞いています。なぜなら、いくらRが高性能として定着してVWの売上げに貢献しても、そもそもRはグループ会社のVW R GmbHのブランドであるがために、VWのお偉いさんにとっては我が子のような愛情もそれほどの旨味もないブランドだったのだとか。しかし、カピトが帰ってきたのは、VW本社でもVWモータースポーツでもなく、まさしくそんな複雑な事情の狭間にあるVW R GmbHになるのです。

「もし2017年も参戦していればタイトル争いをリードしていたはずだ」というカピトの言葉は、ふたたび強いVWがいつかWRCに帰ってきてもおかしくないことを匂わせるものでもあります。しかし、いったんVWのモータースポーツがGTIにシフトしているだけに、いまのところはRを中心としてそのようなことは起こり得ないような気もします。

カピトとRが今後、どんなふうにモータースポーツと関係するのか、F1なのかフォミュらEなのか、あるいはもっと違う生き残りを図ろうとするのか、それはちょっとわかりませんが、しかし、なににせよ、あのように歴史的な快挙を生んだマネージメント能力の高さからいっても、RがVWの真のハイパフォーマンスブランドとして定着することになる日が遠からず来ると思います。

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サルディニアの速報を前に打ち合わせを兼ねてカツオのタタキで景気づけ。行き止まりだと思ったところに新しい入り口が見つかり、2皿目あたりでは練っていた企画の新しい方向性もかなり見えてきました。やるっかない。

シトロエンのスーツが似合いすぎるぜ!

サルディニアにシトロエンからスポットで参戦するミケルセンが、さっそくC3 WRCのテストを行いました。
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シトロエン広報からは最初、白いレーシングスーツ姿の彼の写真が公開されましたが、なんとオフィシャルのスーツもきっちり用意されていました。もう、似合いすぎるくらい似合ってます。この眩しい彼の笑顔を見たら、シトロエンCEOのリンダ・ジャクソンも「イエス」と言いそうな気がします。
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リヤガラスにもきっちりと名前も入り、気持ちよくテストを行ったようです。
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ルフェーブルがなんだか寂しそうにミケルセンを見つめています・・・。

この動画はラリーXモバイルのスマホサイトほか、シトロエンのSNSなどで公開されてます。ぜひ、チェックを!

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