フォルクスワーゲンに4連覇をもたらした名将カピトがマクラーレンのF1チームから古巣に帰ってきました。あれやこれやがあって、VWのF1参戦計画が幻と消えたために彼の役割が終わったんじゃないか、ともフォーミュラEじゃないかとか噂はいろいろありますが、いずれにしても、彼がなぜグループ会社のVW R GmbHのディレクターに就任したのかまだはっきりとはわかっていません。
WRC参戦計画でその輝かしい成績を除いてまったくの誤算だったことは、おもったほどVWのRブランドが高性能スポーツであるというイメージを定着できないままに終わってしまったことだったのかもしません。
2012年末にモナコで公式発表されたポロR WRCのボディにデカデカとRが描かれていたはずが、年を追うごとにそれはどんどん小さくなり、とうとう2016年のマシンからはRのマークそのものが消え、さらに2017年のWRC参戦マシンはポロGTI WRCという名前になるんじゃないかという噂でした。まさかとは思っていたけれど、ペター・ソルベルグの世界ラリークロス選手権のマシンがポロGTIという名前になったし、TCRもGTI TCRになったし、もはやVWにとってのイチオシ高性能ブランドはRではなくGTIになったことは明らかなのです。
VW役員のなかにはWRC参戦前からRのことを快く思っていない人もいたと聞いています。なぜなら、いくらRが高性能として定着してVWの売上げに貢献しても、そもそもRはグループ会社のVW R GmbHのブランドであるがために、VWのお偉いさんにとっては我が子のような愛情もそれほどの旨味もないブランドだったのだとか。しかし、カピトが帰ってきたのは、VW本社でもVWモータースポーツでもなく、まさしくそんな複雑な事情の狭間にあるVW R GmbHになるのです。
「もし2017年も参戦していればタイトル争いをリードしていたはずだ」というカピトの言葉は、ふたたび強いVWがいつかWRCに帰ってきてもおかしくないことを匂わせるものでもあります。しかし、いったんVWのモータースポーツがGTIにシフトしているだけに、いまのところはRを中心としてそのようなことは起こり得ないような気もします。
カピトとRが今後、どんなふうにモータースポーツと関係するのか、F1なのかフォミュらEなのか、あるいはもっと違う生き残りを図ろうとするのか、それはちょっとわかりませんが、しかし、なににせよ、あのように歴史的な快挙を生んだマネージメント能力の高さからいっても、RがVWの真のハイパフォーマンスブランドとして定着することになる日が遠からず来ると思います。
サルディニアの速報を前に打ち合わせを兼ねてカツオのタタキで景気づけ。行き止まりだと思ったところに新しい入り口が見つかり、2皿目あたりでは練っていた企画の新しい方向性もかなり見えてきました。やるっかない。