ビヨルン・ワルデガルドの突然の死から一ヶ月経った昨日、関係者からの彼への追悼メッセージをサイトに公開しました。
いろいろ思い出話を伺ったなかで、サファリを象徴する印象的なエピソードを語ってくれたのは、日本人として唯一、サファリ・ラリーで優勝した藤本吉郎さんでした。
トヨタ・チーム・ヨーロッパ(TTE)で出場した95年のわずか1戦のサファリのために、彼は1月3日からケニアに渡り、4カ月間(!)も現地に滞在してレッキを繰りかえし、ハイスピードテストをしたそうです。
ハイスピードテストというのは今ではすっかり死語になりましたが、TTEは当時、サファリ本番と同じコースを本番のスケジュールで同じチーム体制でテストする、本番さながらのチェックをしたのす。もちろんレッキもハイスピードテストも本番と同じグループAマシンです。
3000kmというサファリの戦いを、なかなかうまく伝えることができないのですが、藤本のエピソードは当時のサファリで勝つことがどれほど困難であり、そしていかに戦いが熱かったのかをよく物語っているように思います。
また、サファリに13回の出場経験をもつ岩瀬晏弘さんは、ワルデガルドがマッドホールを信じられないようなスピードで駆け抜けたのを真横で見てガクブルしたと語ってくれました。まさしくモンスターです。サファリを欧州出身ドライバーとして唯一人4回勝っているワルデガルドだからこそこのような走りが可能だったのでしょう。
いまではアフリカ選手権の一戦として行われているサファリ・ラリーが、2017年のWRC復帰にむけて動きだしたと先週のニュースでお伝えしましたが、関係者によれば、今回のイベントはFIA視察団に気に入ってもらえるように管理が行き届いた私道のステージをメインにした224kmのアイテナリーで行われたたようです。
あのような冒険の時代は終わったのかもしれません。しかし、サファリのWRC復活が本当にあるのなら、もう一度この目で見てみたいものです。