さきほどミシェル・リザンの「フォーカス・オブ・ザ・ラリー」が公開されました。本誌では1991年のほぼ創刊当初から連載していた名物コラムが、7年ぶりにラリーXに復活です。
リザンは今回のフォーカス・オブ・ザ・ラリーのなかで、システロンのステージでオジエがどれだけ凄かったかとレポートしています。なので、すこしこのステージの説明をさせてもらおうかと思います。
モンテカルロではチュリニ峠のステージが有名ですが、このシステロンのことをご存じない方もいるかもしれません。それもそのはず、ここは実は昨年11年ぶりに復活したステージなのです。個人的な意見ですが、フィンランドのオウニンポウヤにも匹敵するデンジャラスでまさに息を飲むステージなのです。
リザンが書いたことの繰り返しとなりますが、システロンのステージは、麓の村から標高1200mの山の上まで一気に駆け上がり、そこから10km近くにわたってあまりアップダウンがないフラットな高速ステージが続いたあと、有名なフォンベル峠からトアールまで下る、全長は36kmを超えるステージとなります。
この山頂と丘と隣の山をつないだほとんどストレートと高速コーナーが連続する道が凄い。標高が高いのでいつ行っても雪が積もっているのにそこで6速ベタ踏みでドカーンと200キロ近くも出ちゃうわけです。僕は1997年と1998年に2年連続でシステロンに通いましたが、雪解けのシャーベットになった道を信じられないスピードで駆け抜けるマシンをガクガクしながら眺めた記憶があります。
ド新人なのでクルマの速さもよくわからなかったのですが、ブルーノ・ティリーの尋常ではない速さだけが記憶に残って、これは凄いやつが現れた、とか卒倒しそうになってあとからタイムを確認すると、意外に平凡なタイムだったことを知ってまたラリーの奥深さに愕然したのですが・・・。
ともあれ、結果的に勝てばいい世界ですから、ここで攻めるやつは心底おかしい人間だとそのように私も学習していたので、このコンディションのなかでオジエが出した22分3.3秒は衝撃でした。
このシステロンの記録はこれまではカルロス・サインツが1993年にランチア・デルタで出した23分22秒だったそうです。その記録をついに今年、21年ぶりにオジエが破ったのだそうです。しかも、リザンによればあまり攻めてなかったのだとか! ナント!
本当にオジエ、これからどこまで速くなるのやら。ローブが塗り替えてきたいくつもの記録を彼なら本当に破ってしまうのかもしれないですね。勝ちすぎるのは控えめにお願いしたいのだけれど。