赤坂上空はオバマ大統領を追いかけるマスコミのヘリコプターがバラバラバラッと朝からひっきりなしに飛んでおり、なんか胸がぞわぞわする一日でした。
ヘリの音を聞くと、むかし、サファリ・ラリーに行ったときの、遠い記憶がよみがえります。
あのころラリーはまさしく戦争そのものでした。ライバルを出し抜き、蹴散らすために、あらん限りの戦略と物資が金に糸目をつけずに使われていました。
耳に入ってくるワークスマシンのパーツの金額はまる現実離れしたものでした。たとえばTTEのターボなどは90年当時、市販され始めたセルシオと同じ金額だと聞いたように記憶しています。サービスに駆け込んできたセリカから高温のターボをはぎ取るのに、まだ使えるかもしれないのに水をかけてぶっこわしてぽんぽんとゴミ同然に投げ捨てていた時代です。どれほど高額なパーツであろうと、ほんの一瞬、ピークの性能を発揮すればいいという、いまでは考えられない時代でした。
あのころサファリでワークスはラリーカー一台について一機ずつヘリを飛ばし、上空からサバンナの先のコースの監視をさせてました。ステージでラリーカーを待っていると、ラリーカーの音よりも先にヘリの音が聞こえ、やがてアニマルライトをつけて時速200キロ近いスピードで走るラリーカーを従えて丘の上からぐんぐんこちらに近づいてくる姿は感動的ですらありました。
よごれた壁の事務所にすわって次から次へと飛来するヘリの乾いた音を聞いていると、なんかあの頃のラリーを追いかけているときのような、ドキドキする感じを思いだしました。オバマのおかげです。