今日のYahooニュースで驚くべき記事を読みました。あのインプレッサが復活したという。笹子トンネルの天板崩落事故に遭遇しながらぎりぎりで助かった、あの青のインプレッサが!
当時のテレビや報道であのインプレッサのことをご存じの方も多いと思います。多くの方々が亡くなったなかで、崩落が始まった天板をすり抜けるようにして奇跡的に助かったインプレッサは、しかし、フロントガラスやルーフも大破したはずでは・・・。
あのトンネルの崩落からそのクルマが生還できたのは、俊足のインプレッサだったからだったかもしれないし、あるいはグループAラリーカーのベースとして生まれたときからABCピラーに強度を持たせるための設計が施されていたからか、それともただの偶然か運だったのか、それはわかりません。しかし、ルーフまで半分ひしゃげて廃車同然だったこのマシンを新品同様に復活させるためには、それなりの覚悟と執念がなければ不可能だったでしょう。
修理にあたった岐阜の中津スバルさんのブログを追ってみたところ、やはり修理には1年近くがかかったようです。「クルマはただの機械ではなくて魂をもったパートナーだ」という、中津スバルの社長の言葉が響きます。機械に魂が宿るなどというポエムのような言葉をクルマの設計屋たちは嫌います。しかし、人の思いの強さに機械は応えてくれるからこそ、このような人とクルマの物語が生まれるのでしょう。
メカニックがこのマシンを修理することに誇りを抱き、オーナーがどうしても残そうとしなければこのような復活もなかったでしょう。一台のクルマをめぐり、作り手と乗り手とそしてそれを修理する人たちの輪がこのように強い絆で結ばれているとはなんと幸せなことでしょうか。
もしスバルが世界ラリーに挑戦しなければ、インプレッサはこのように人を熱くするクルマではなかったかもしれません。もしご存命であれば久世さんもこのニュースをさぞかし喜んでおられるように思います。