ミキ・ビアジオンのコドライバーだったティツィアーノ・シヴィエロが80kmのロングステージをサルディニアで実現させようと企んだけれど失敗に終わったと明かしています。
でも、コースの安全性を保つために、けっきょく59kmのステージに落ち着いたのだとか・・・。まあ、それでも今季のWRCで最長ステージなんですけどね。
サルディニアのステージだけではありません。いまではロングディスタンス回帰のムーブメントも忘れ去られ、どのイベントもコンパクト路線に逆戻りのようです。
2年前に400kmオーバーのイベントに戻した反動で、昨年は2日間で312kmという超コンパクトとなったフランスは、今年も303kmでのガイド1を発表しました。かつては走る土地がありあまっているように見えたオーストラリアも今年は319kmの計画のようです。
ラリーにスプリント化の波が押し寄せた90年代前半にはそれでもまだステージだけで1日に200kmを越えるイベントも少なからずありましたし、ニュージーランドやアクロポリスなどは250kmオーバーという一日もあったはずです。
しかし、ジャン・トッドが謳ったロングディスタンスへの回帰は、ルールやラリーの仕組みをいじらなければ、けっきょくのところただの美しい幻想にしかすぎませんでした。グループAマシンならまだしも長距離になればなるほど高額なWRカーで参戦するチームの負担はバカになりませんし、イブ・マトンにいたっては「ラリーは2日間でいい」と言い出す有り様です。
また、いくら伝統を守るとはいえ、主催者にとっても長いステージを維持することがどれほど重い足かせとなっているかは言うまでもありません。世界選手権ではステージには数百メートル単位で万が一に備えるためのマーシャルを数人単位で立たせてコースの安全性を完全に管理することが求められる時代なのです。80kmのステージを動かすためには、いったい何百人のマーシャルが必要なんでしょう!
週末にイギリスのジム・クラーク・ラリーで悲劇が起こりました。観客を巻き込むという、あってはならない事故が、一日に2回つづいたわけですからコース管理に問題があったことは否めません・・・。
かつてのようなダイナミックな時代のラリーを復活させるにしても、まずは安全性が最優先にならなければならないのです。