やっぱりラリーが好きなのだっ!〜編集代表のラリーな日々ブログ〜

プジョーのジレンマ。

ラトバラが遅れたポーランド。まあ、まだ始まったばかりなので、今日は最初に触れておきたいこの話題から。プジョースポールは208 T16の問題を把握しているけれど、その対策に四苦八苦しているのだとか・・・。
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(ERC初優勝目前でマシンが止まってがっかりのアッブリング)

デビューからこれまで取り憑かれたようにリタイアが続出している問題について、プジョースポールのボスはその原因については明言を避けておりますが、エンジンのパワーアップと関係があることを初めて示唆しています。

・・・プジョーがどのような問題を抱えているのか決めつけるつもりはないのですが、以前、あるレーシングエンジンの開発者と話したことを思いだしたので、今日はちょっと紹介したいと思います。

以前にブログで「最新のアルミ製エンジンはペラペラでレース屋泣かせだ」というコメントを紹介しましたが、実は彼と話したとき、例えば特殊なシリンダーライナーやさまざまな加工方法があるのでお金掛ければちゃんと壊れないエンジンはできるという説明を受けました。これらがまたかなりいい値段するらしいんですが、そのぶんプロが手がけた部品は次元の違う仕事をするのだそうです。

また、ペラペラのブロックは強度とともに熱変形が問題なのだそうです。レーシングエンジンの燃焼室はとても高熱となりますが、この熱は、ピストン→ピストンリング→シリンダーライナー→ウォータージャケットの冷却水へとうまく伝わらなければ、ブロックの熱変形を招きます。それをうまく処理するための改造がされるわけですが、ベースのブロックにはどうしても一カ所だけ構造上の弱点があるのだそうですよ。それがここ。
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エンジンをコンパクトにするためにボア間ピッチが縮小されたことによって気筒と気筒の間の壁が薄くなっています。ここだけは、どうしても熱が逃げにくいんだそうです。ちなみにこれはプジョー208 T16のR5のエンジンブロックです。

で、じゃあ、それをどうやって熱変形を防ぐかというと、気筒間の壁に、プスーッと細〜い穴を何本か開けて冷却水を通しちゃうんですって!
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点線のところ。機械の加工屋さんってすごいですね!

そうすることで冷却の問題は解決できるんだそうですが、問題はその手間や費用となるそうです。

R5はそもそもプロダクションカーで、いってもみれば本来、レーシングカーではありません。あちこち弱い部分があるのは当たり前なわけで、そのマシンにこんな加工をしたり高いパーツを奢って、金をかければぜったいに壊れないものができるわけですが、そうなると相当高いマシンになってしまうじゃないですか。

「問題はわかってる」と語ったプジョーのボス。208 T16はファクトリーチームだけではなくてこれからもカスタマーに安い金額で高性能のマシンを販売しなくちゃいけないのですが、高額な解決ではNGとなるわけです。そのジレンマがこのような問題の底にあるんじゃないかな。いや、これはあくまでも僕の妄想。ただの想像ですよ。

おっと、早くもポーランドの金曜日が始まりますね! 今夜は長いですぞ。呪いから解放されたラトバラ、がんばれ!


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