先週末、英アルスター・ラリーで20歳のティモシー・キャスカートが亡くなる残念な事故が起こりました。
コドライバーのダイ・ロバーツもヘリコプターでベルファストの病院に搬送され、一時危ない状態との情報もありましたが、クレイグ・ブリーンによっていち早く、ダイが順調によくなっているという報せがtwitterによってもたらされています。
ケガをしたダイ・ロバーツは、ブリーンの以前のコドライバーだったギャレス・ロバーツの兄です。ご存じのとおり、ギャレス・ロバーツは2年前、ブリーンとともに出場していたタルガ・フローリオで事故のため亡くなっています。そして事故後、落ち込み、引退まで考えたブリーンにいち早く復帰するよう説いたのが、ギャレス・ロバーツの兄のダイでした。
左が兄のダイ、そして右が1歳下のギャレス。
事故のあとで、「最高の時間をともにするつもりが最悪なことを友にしてしまったことに絶望している」という手紙をブリーンからもらったダイは、弟の思いがブリーンとともにこれからも続くようにと復帰を説得し、そして亡くなったシチリアの地に植樹したと聞いています。
若いドライバーたちに重大事故が起こったことを認識しつつ、それでも主催者はいったんストップしたラリーを続行しようとしていましたが、あまりにも動揺がドライバーたちに広がっているため、アイルランド・ターマックチャンピオンのギャリー・ジェニングスがいち早くパルクフェルメから自らクルマを押しだして棄権を表明、それにアイルランド選手権リーダーのデシアン・ボイルらが続いたそうです・・・。
亡くなったキャスカートは家族や親族に何人ものラリードライバーや関係者がいるほどのラリーファミリーの期待の星でした。そして、ダイ・ロバーツは、旅だった弟にむけて、「ジャファなら頼めばコリン(・マクレー)のコドライバーにしてもらえるはず。コリンはきっとコドライバーを探しているはずだから」と追悼の言葉を贈ったほどの弟思いの兄でした。仲間たちはみんなそのようなことを知っているのです。
ラリーでは見えないところでみんなの思いがそのようにつながっています。ダイ・ロバーツが一日も早く回復することを誰もが願っています。