プロドライブが突然、ゴルフのラリーカーを開発していることを発表しました。
FIAホモロゲーションをもたないマシンなのだそうです。
プロドライブはフォルクスワーゲン公認のプロジェクトだと発表していますが、MINIの一件があっただけに、なんだか先行きを不安視する声も挙がっているようです。しかし、僕はこれ、意外にビジネスとして成功する可能性があるような気がしました。なぜなら、こんなラリーカー、イギリスだけじゃなくて、世界中がほしがっていたところだから!
S2000をベースにしているWRカーは、ホモロゲーションを取得するマニュファクチャラーにとっても、走らせるチームやアマチュアにとっても負担が大きく、いろんなローカル選手権で参戦台数の減少を招いていると言う話は以前にも紹介しました。
イギリス国内のシリーズ戦は、FIAホモロゲーションをもたない車両にも参戦資格を与える「パスポート」システムをもっていて、今年からMスポーツがフィエスタR5のパワーでは満足できないけど、かといってWRカーは買えないというお客さんに向けてWRカー用リヤウィングと34mmエアリストリクターというチョイ足し仕様の「フィエスタR5+」を販売開始しております。
FIAの車両規定ではなく、独自規定でマシンの製作を許している国はかなりあります。南ア選手権もそうですし、アルゼンチンもそうです。例えばオーストラリアではマツダ2(日本でいうデミオです)が有名です。
こちらもFIAホモロゲーションをもたないけれど、CAMS(オーストラリア・モータースポーツ連盟)が国内選手権向けにG2規定を作って、いわば中身のフィエスタR2のマツダ2に2リッターのNAエンジンを載せた、けっこうパワフルな魅力的なマシンに仕上がっています。いわばオーストラリア国内向けR3規定とも言うべきG2規定のマシンでもアジア-パシフィック・ラリー選手権(APRC)を走ってもいいようになったように、いろんな選手権が賑わいを取り戻せるように、FIAホモロゲーションをもたないマシンにも国内だけじゃなくて海外向け「パスポート」を発給する動きはますます加速するじゃないかな。
いまでもまだランサーやインプレッサのN4マシンが主力の市場は世界にたくさんあります。それはカスタマーサービスの拠点と安価なパーツ供給が約束されているから。しかし、これらが可能になれば、とくに中国なんてすごく大きなマーケットになりうるでしょう。
サーキットではシロッコカップを世界中で展開しているにもかかわらず、ハノーヴァーはラリーにおけるカスタマーサービスを一向に始められないのは、ワークスチームの3台で手一杯であるのだとか。VWがプロドライブにどこまで許しているかわかりませんが、安価なカスタマーラリーカーによる世界征服を狙うのに、プロドライブは適したパートナーであるような気がします。だってほら、スバル時代に築いたカスタマーサービスのネットワークが世界中にあるわけだし!