モンテカルロのスピン以降、すっかり歯車が狂ってしまったラトバラ。スウェーデンのクラッシュにつづき、今回も連続してクラッシュ。不振の原因はスプリット禁止によるところが大きいと言われています。
ヨースト・カピトは、スプリット禁止がラリーをおもしろくさせたかどうかわからないと微妙な発言をしています。なにが起きるかわからないおもしろさを求めてルールは変更されたはずですが、なにか起きるのが決まってヤリ-マティであるだけに、彼も複雑なのでしょう。
たしかにセバスチャン・ローブの時代がおもしろみを欠いていたのは、スプリットタイムによって合理的な走りが可能だったところにも原因があったと言われています。
ローブは2005年に2度目のチャンピオンを獲得したとき、年間で130回のベストタイムを獲得していますが、円熟期に入った終盤ではその数はがくっと落ちています。2011年には65回、2012年の9回目の王座のときには63回というエコロジカルな走りでタイトルを獲得しているのです。
彼がもっとも得意としたのは、スプリットをうまく利用して、ライバルに追いつけそうに思わせてペースを上げさせて自滅を誘うという戦術でした。しかし、それが可能だったのは、スプリットのおかげではなく、彼がまぎれもなく誰よりも速かったから!
メキシコを一番手という最悪なスタートで勝ってしまったセバスチャン・オジエに、全盛時代のローブの姿が重なって見えるのは私だけではないはず。それにしても接戦を生むためにルールを変えてしまったことで、オジエのさらなる進化を呼んでしまうなんて、なんて皮肉なの!