本日スマホサイトで公開された「フォーカス・サルディニア」のなかで、ミシェル・リザンが興味深いエピソードを紹介しています。
金曜日の朝、雨で湿ったステージを前に、パッドンがスペアとしてソフト2本をトランクに搭載していることを知ったヤリ-マティが、「すぐにその2本をすぐリヤに装着しろ」とアドバイスを送り、それが当たって快進撃が始まったというわけです。
なかなかいい話だと思いませんか? もっとも敵に塩を贈ったことに、その時点でヤリ-マティは気付いてなかったのだと思いますけど!
スタート前のちょっとした空き時間に、ドライバーたちは相手がどのようなタイヤでどのようなタイムを出したのか、タイヤの摩耗状況とあわせてチェックしたりするのですが、金曜日の朝にどのようなタイヤを装着しているかどうかは、本当にギャンブルとも言える状況でした。なぜなら金曜日の朝のループで使用するタイヤは、木曜日のスーパーSSの前に決めなくてはならなかったからです。
多くのラリーカーは木曜昼過ぎにアルゲーロのサービスパークからカリアリに向けてトレーラーに積まれる前にタイヤを選ぶ必要があったのだと思いますが、木曜日夜19時半にカリアリで行われるスタート前に、15時半から19時までにホールディングエリアに入るときには遅くとも金曜日の朝のタイヤを選ぶ必要があり、ステージ直前におかれるタイヤマーキングゾーンで使用タイヤが決定となるわけです。
そのような状況のなか、フォルクスワーゲンのウェザークルーが木曜日の雨を的中させていたというのは驚きでした。スタート前に雹が降るという異常気象がそういう疑いをチームに抱かせたのかもしれません。いずれにしても金曜朝の時点でソフト2本をもっていたのはオジエとミケルセン(ラトバラはわずか1本)、そしてパッドンのわずか3人だけでしたし、ほかのチームのタイヤ選択状況をみるに、雨を予想していたのはVWだけだったはずです。
夜中に雷雨で目覚めなかった人はいないはずが、「ソフトをリヤに履け」と言われるまでポカ〜ンとしていたパッドンにはいろいろがんばって学んでもらうことも多いような感じですし、チーム力という意味では、VWはちょっと次元が違うところにいるようです。