TOYOTA GAZOO Racingの育成ドライバーに選ばれた新井大輝(ひろき)と勝田貴元(たかもと)の記者会見が行われました。
会見のなかで、21歳の大輝と22歳の貴元、二人とも父親から、ドライビングなどについてほとんど何も教えられたことがないというのは驚きでした。
言わずと知れたプロダクションカーの世界チャンピオンの父、全日本6度の王座に立った父。頂点を極めた人間が自らの経験やノウハウを誰よりも息子に受け継がせるために心血を注ぐものではないのか? という想像は完全に打ち砕かれ、何も語らないで子どもを育てた二人の父の姿が浮かんで来ました。
「父からこうしろと言われたことがない。サーキットのレースさえ一度も見に来たことがなかった父は今回のオーディションに受かったときも、ただ一言、ここからだぞとしか言わなかった」と貴元。
「父は本当になにも言わない人、なにも教えられたことがないし、背後からただ見ているだけ。教えて出来ることなら何も言わなくてもできるだろ、みたいな感じです」と大輝。
教えて出来るほど生やさしい世界じゃないことを知り尽くしている父は、そんなふうに何も語らずに子どもを遠いところに送り出すものなんですね。
夢や希望を語りながらも、まだ手応えのない未来に不安を覗かせる二人の言葉を聞いていて、なんだか燃える闘魂アントニオ猪木の名言を思い出しました。
「迷わず行けよ、行けばわかるさ!」
父たちはそんな気持ちなんだろうね。