まさしく嵐が襲いかかったウェールズ地方、最終日も凄まじい雨と風の朝となり、美しい景色で有名なグレートオーム岬のターマックでは風速50メートル(!)の恐れもあることから、観戦を急遽中止したほどでした。
そのような、なにが起きてもおかしくないコンディションのなか、スローなペースに落としたとはいえ、オジエが完璧な走りでシーズンを締め括ってみせてくれました。
最終ステージのゴール地点、オジエとイングラシアが、あまりの強風で暴れまくるフランス国旗を押さえつけるようにしてポロのフロントウインドウに掲げる映像から、二人のやりきれない悲しさが伝わってくるようでした。
テロ事件が起きた翌朝、「あのようなことのあとで走るのはつらい」と、たしかに彼は感情を押し殺したような震えるような声で語っていました。2015年シーズンのフィナーレは歓喜の終幕ではありませんでしたが、ドライバーたちが無言で肩を抱き合ったポディウムにこのスポーツの素晴らしさを見た気がしました。