WMSCが新たにリタイアしたドライバーへの罰則を強化するという方向でドラスティックな変更を行う決定を下しました。ドライバーを救済することを目的として、2004年に世界ラリー選手権に導入されたラリー2(当時はスーパーラリーと呼ばれてました)が生まれ変わることになりました。
これまでリタイアした場合には1ステージについて7分だったペナルティが60分に引き上げられたことで、ラリー2で再出走に回ったドライバーがポイントを獲得することは不可能となりそうです(WRC3やジュニアWRCでは可能かもしれないけど)。
なぜ通常のステージが60分でスーパーSSが7分なのか首をかしげてしまうのですが、まあ、それよりこのペナルティでラリーのスタイルや戦術がどのように変わってしまうのか、僕には少し気がかりです。
ともかくドライバーはこれまで以上にリタイアできなくなったわけですから、無理して追い抜くなんてリスクをもう負えないし、よりいっそうラリーは攻めより守りを重視したスタイルになってしまうのでは?
ところで、そもそもはラリー2なんてなかったことを思い出してください。ラリー2がなくなれば、リタイアは完全にラリーからの撤退となりますから、当然のながらより守り重視になると思われるかもしれませんが、ところが、マクレーのような攻めっぱなしのドライバーだってちゃんといたじゃないですか。
あのころはステージの後でも前でもサービスバンが待機していてクルマが壊れたら直したい放題、部品も使いたい放題だったし、パンクしても、足を壊しても、スーパーメカニックがガンガン直して、ドライバーは思いっきり攻めることができたのです。
それが今はどうでしょう。タイヤを擦り切れないようにマネージメントしたり(高度なテクなんですけどね!)、パンクしたらリタイアとか、なんだかせこいじゃないですか。いくら380馬力にしたところで、最高速ではF1にはかなわないし、それよりもちょっとくらいボコったり、足がもげてタイヤ1本くらい外れても、どこからともなくスーパーメカニックが現れて、きっちり直しちゃうようにすれば、へー、ラリーカーはリタイアしないんだ! って思うはず。そんなイメージのほうがきっとWRCはうまく行くと思う。いまはインターネットテレビも発達しているし、ステージ後のエマージェンシーのサービスをヘリで中継できるでしょうし、きっといい映像が撮れるはず!
それにはもっとリタイアしないで済むような仕組みや車両規定をきちんと用意すれば、もっとラリーは面白くなるんじゃないかと思うんですよ。僕は守りのラリーより攻めのラリーを観られるようにルールは変えるべきだと思うなあ。
いまさらのことを言っても仕方ないのですが、WRカーのような高額なクルマで世界選手権やるんじゃなくて、R5のような安いクルマでやればいいと思う。R5だってわざわざ32mmなんて小さなリストリクターでパワー絞ってるんですから、38mmくらいおごってやれば、RRCカモるくらいわけないですよ。7500rpmのリミッターも解除すればいいじゃないですか!
プロダクションカーでパワー上げれば、当然どこかが壊れます。けれど、大丈夫ですよ、安心して下さい。メーカーの人たちはちゃんと市販技術を使ってうまく作りますから。でも、WRカーみたいにとんでもなく高くないし、ターボも一日に一個くらい交換すればいいじゃないですか。安いんですから、パーツの数を年間で規制するなんてこと止めて、トランスミッションもサービスでどんどん交換しましょうよ。ファンだってサービスでもっと大がかりな作業を見たいんですよ。
R5マシンで世界選手権やれば、いくらでも多くのメーカーがやるってのに、2017年の新しいWRカーの準備をしなければならないので2016年は全戦に出場できません・・・て、こんなバカな話があるでしょうか!
・・・・ちょっと脱線しましたが、とにかく、ラリー2でペナルティを与えて完走していたことにすると、本来、ラリーで一番ドラマチックシーンである、がんばって走り続けるところとか、がんばって直しているところが全部消えちゃうわけで、それならラリー2を止めて、最後まできっちりと走らせるクルーやチームのドラマを全部みせるようにすれば人気も回復するんじゃないかな、と思うわけですよ!