ミシュランのエンジニアが、モンテカルロでは完璧なタイヤ選択をするのは不可能だと語っています。あまりに路面の変化が激しく予想が立ちにくいため、1ステージならOKでも、2〜3ステージを同じタイヤセットで走るためにはどうしても妥協の選択になるというわけです。
天気が変わりやすいモンテは、どれほど完璧なレッキをしても、本番までの3〜4日で路面のコンディションはかなり変わってしまいます。
こちらモンテ最長ラルディエ・エ・バロンサ。昨年のレッキのときの写真です。
いっぽう、こちらは昨年の本番のときの写真。つまり、ドライだったけど、雪が降って、日当たりがいいのでだんだん路面の雪が融けだして、本番では日向はドライ、日陰はアイスとなったのです。
ステージが行われる前にはアイスノートクルーが路面のチェックを行うので、このときにそれぞれのコーナーがレッキとどれだけ変わったのかがクルーたちに伝えられます。ドライだったところが凍っていれば、ペースノートに「!(caution=注意)」が書き加えられます。
さらに実際にステージが行われるおよそ2時間後にどれだけ路面が変化するのかそこを読むのはかなり難しい作業になります。
「凍ったところが融けそうだ」あるいは「融けたところが凍りそうだ」というアイスノートクルーの予測がなければエライことになりますし、ドライだったけど路肩の雪が融けて路面が濡れることをアイスノートクルーが見落としていると、ブレーキングポイントの先のブラインドコーナーに飛び込んだドライバーが酷い思いをすることになるというわけです。
モンテの上空では、つねに地中海の暖かく湿った空気とアルプスの強い寒気が綱引きを行っているのです。2年前の朝、一番手スタートのオジエが、スーパーソフトでスタートしてフルスノーの路面に出くわしたこともあります。天気予報が晴れでアイスノートクルーが走ってドライだったことを確認しても、雪が降ることもあるのですから、モンテは本当に恐ろしいですなあ〜。