子どものころ、僕の生まれた長野県では、冬、刈り取りが終わった大きな田んぼに水を貼ってスケートリンクにしていました。毎日、暗いうちにリンクに通い、一周300メートルほどあるリンクを100周くらいさせられていたように思います。
硬い革のスケート靴で3時間も走ると足が痛くて、腰も足も感覚がなくなるくらいにきついんですよ。別にスケート選手になりたいわけじゃないのに、何で毎日こんなしんどいことするのか、よくわからないままやらされていたわけですが、反抗することも許されずに、いつもスケートリンクの氷が溶けることばかりを夢にみていた少年時代でした。それがたまに朝行くと、昨夜の暖かさや水の取り込み方が原因で、リンクの氷が溶け出していると、「やった、休めるっ」って!
こちら金曜日に予定されるスヴリヤのステージの現在の様子。このような写真をみて、先週末、39度の発熱で寝込んでいた僕は、正直、「おっ、速報休める!」って心の底で一瞬思ったことを告白しなればなりません。本当に雪に悩む関係者の皆様ごめんなさい。でも、それは幼少期にそのようなスパルタ訓練のトラウマがあるものですから・・・・。
もちろん、いまもラリー・スウェーデンの雪を見て、「溶けてしまえ!」って願っているわけじゃないですよ。そりゃ、いくら僕だってグラベルが露出している写真をみると、がっかりしますよ。ただ、アイスが溶けはじめているこのコーナーの写真をいまも見ると、やはり心のどこかで「お!」って、なんか言いようのない沸きたつものがあるのですよ。
新雪もいいですよ。でも、心から好きなのは、溶けだしてるやつ。モンテでも南斜面によくあるんですが、ステージでカチカチの氷の上に雨まじりの雪のスラッシュが乗っている状態をみると、なんだかワクワクしちゃって! なにか起きることも期待しつつ、そんなわけで幼少時のねじれた体験もあるから大興奮なのですよ。