やっぱりラリーが好きなのだっ!〜編集代表のラリーな日々ブログ〜

ガードレールの事故からドライバーを救え。

剥き出しになったガードレールの事故からクルーの生命を守るための研究がFIAインスティテュートによって行われています。命を救うはずのガードレールが凶器になり、2011年に瀕死の重傷を負ったクビサ、ブリーンも同様の事故でコドライバーのジャファを亡くしています。

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クビサが2011年のラリー・ディ・アンドラで起こした事故は、110km/hで走行中に20度の角度でガードレールの端に衝突したというポーランド国営放送のシミュレーション結果がでています。クビサがクラッシュしたマシンのリヤゲートからぬるりと3m近く突き出たガードレールの恐ろしい写真を誰もが覚えていると思います。この速度では1秒間に30mクルマは移動するのですから、ガードレールの鋭い刃先はわけなくマシンを貫くことになります。

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FIAは今回、110km/hでラリーカーをガードレールの端に衝突させる実験を行っていますが、この速度はまさしくクビサがクラッシュしたときのスピードと同じものでした。二度とクビサのような事故を起こすまいというFIAの決意は鮮明です。
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今回テストされたデバイスは、なかに砂が詰まった直径70センチ・高さ1メートルの鋼鉄製の円筒。これをガードレールの端に置き、無人のクルマを110km/hで衝突させています。

FIAによれば、このデバイスによってクラッシュの衝撃を和らげられたと同時にガードレールが上向きに屈折することで、バルクヘッドを突き破って室内へ貫通することが避けられたと説明しています。おそらく円筒になかに隔壁が作られていて侵入するガードレールを逃がす構造になっているのでしょう。
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FIAはこのデバイスを普及させるために100ユーロ程度というきわめて安価な販売価格を将来の目標にしています。500kgを超える物体をどこにどれだけ置くのか、おいそれと動かせないだけに設置の問題も出てくるでしょう。そして、なにより最大の問題はそのような危険な場所は無数にあることでしょう。

FIAにはラリーという競技に限った予防措置を講じるのではなく、一般の道路におけるガードレールの構造そのものを見直す動きにつなげてほしいものです。

ヨーロッパの一般道ではあえてガードレールの端を剥き出しにしないで斜めに折って地面に埋めるように設置しているところを見たことがあります。道路の現場をよく知る人のアイディアなのでしょう。見た目は悪いのですが、このシンプルな構造になにかいい解決の糸口があるように思うのですが。


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