やっぱりラリーが好きなのだっ!〜編集代表のラリーな日々ブログ〜

2016年3月アーカイブ

世界のサニーも50周年だったのだ。

先日、カローラが50周年を迎えたとお伝えしましたが、サニーも50周年だそうです!
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まさしく永遠のライバルというわけですね!

というわけで、日産グローバル本社ギャラリー(神奈川県横浜市西区高島)では、4月2日から5月31日まで、初代を中心としたサニーの展示が行われるそうです。開催期間を前期(2〜17日)、中期(18日~5月8日)、後期(10〜31日)の3期にわけて、いろいろ展示車両が変わるようですね。

クルマは生まれてから50年も過ぎたら、それはもう古いクルマというより文化財と言ってもいい。そんなクルマを個人で所有して、いつでも動かすことができるように保存している人の努力はハンパないものがあると思うのですが、そんなクルマに対しては国がなんらかの支援してもいいんじゃないかとさえ思うのであります。

日本は車をつくるのはうまいと世界から評価されているけれど、国民の生活をささえた大衆車の文化的な価値をよくわかってる国だねって認められることもこれからは必要なんじゃないかな!

モリー、ビッグウェーブをつかまえて!

10年ぶりにラリーシーンに帰ってきたスバル・ラリーチーム・オーストラリアが、モリー・テイラーのために特別なラッピングを用意しました。
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ボディには波乗りする美しい女性が描かれています。

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そして、モリーがクルマに乗ると、まるで彼女がサーフィンしているみたいに見えるんです! しかも、ボディカラーは、ただのブルーじゃなくて、ゴールドコーストの美しい青の波が描かれているのです! 

モリーは、昨年のナショナル・キャピタル・ラリーで、女性で初めてオーストラリア選手権で総合優勝を果たしています。もはや運転がうまくて、ちょっとかわいい女性ではありません。フィットネスジムとの協力でこれまでより本格的なトレーニングを開始、スバル・オーストラリアでさらなる大きな波に乗ることに期待しましょう!

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ところで、コドライバーがまだ正式発表になってないけど、このラッピングからすると男性かな? お母さんのコーラルが横に乗ったら、それはそれでまた微妙・・・カメラマンは撮影するとき、クルマの向きには要注意ですよ!

世界のカローラが50周年。

気づきませんでしたが、カローラ50周年だそうです。これまでの世界累計販売台数は4300万台を超えるそうです! まさしく世界のカローラです。
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トヨタのニュースルームには、豊田社長が笑顔でTE71の1600GTに乗っている写真もアップされています。

いっぽう、ニューヨークショーに出た最新のカローラがこちら。
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世代によっては、この変化を「自動車はずいぶん変わったものだ」と受け取るでしょうし、あるいはしなやかな発想の人は「夢の自動車にかなり近づいてきたな」と受け取るでしょう。

新しいカローラがプリウスとかとまったく見分けがつかない僕は、もうだいぶ感性が劣化しているかも。かなりピンチだ!

モンバサのような夕日を浴びて!

整備が始まってから1カ月あまり、ナンバーが付いてからおよそ2週間、やっとレオーネの一時帰宅が許されました。岩瀬さん! ガタゴトいうクルマで夕日を浴びて首都高をぐいぐい流すのは、信じられないくらいいい気分だったですよ! このままケニアまで走っていきたくなりました!
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クルマの整備でお世話になったオートスポーツ・イワセのスタッフの皆さん、ありがとうございました。

岩瀬さんは、サファリ・ラリーに9回も出場したことがある元ラリードライバーの方なのですが(93年にはTTEのセリカで4位になっています)、自分でラリーカー作ってサファリでそれだけの経験をした人なんて世界でもほとんど例がないので、実はサファリ・マシンのスペシャリストとしてワークスチームも一目置くほど腕の持ち主だったのです。三菱ラリーアートのチーフエンジニアだったリンダウアーも86年に岩瀬さんのファミリアのサポートをして、クルマづくりの多くを学びとったようですし、TTEのファクトリーマシンの製作を依頼されたことがあったほど!

そんな腕を頼って、今日もオートスポーツ・イワセには、僕だけじゃなくて、エスコートやフルビアのラリーカーが整備のために入庫していていました。日本には実はかなり多くのラリーカーが輸入されているみたいだけれど、なかなか信頼できる腕をもつメカニックに恵まれずに、エンジンさえ掛けられなくなったクルマがかなりあるのだとか。もったいないねー。動かなければ、やっぱりラリーカーじゃないからさ、困っている人いたら、岩瀬さんに相談してみたらいかがですか? 

さ、ブログも書いたし、これから深夜のドライブだっ!

ジミーズから卒業を!

ERC第2戦のサーキット・オブ・アイルランドが、ちょっと目が離せない一戦になりそうな気配です。

ニュースでも紹介しましたが、ERCのほかにもイギリス選手権、アイルランド・ターマック選手権が併催されるため、ERC常連に加え、クレイグ・ブリーンも地元戦に飛び入りで参加するほか、英王座狙いのエルフィン・エヴァンスやら地元の猛者どもがわらわらと名前を連ねています。

77台を数えるエントリーリスト、そのうちR5とS2000のマシンが38台(すごい台数ですね!)を眺めていて、ひさびさに懐かしい名前を発見しました。
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キース・クローニン!(メガネの地味な方が彼です)

3度イギリス・チャンピオンに輝きながら、なかなかステップアップのチャンスに恵まれなかったクローニンのことはこのブログでも何度か紹介しましたからご存じの人も多いはず。

昨年のポルトガルからやっとシトロエンDS3 R5で世界選手権にチャレンジするはずが、イベント前のテストでクラッシュしてマシンを大破、ポルトガルをはじめそのあとのサルディニアへの参戦もキャンセルとなり、またも道を絶たれたか・・・なんて暗澹たる気持ちになっていたのですが、なんと地元アイルランドのターマック選手権で今季これまで開幕から2連勝中です。
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チャンピオンなのにどことなくスター性がない感じがするのは、これまで苦労してきたせいかしら。ブリーンやエヴァンスに先を越されてしまったクローニンが、このまま地元の星で終わるか、あるいはもう一度世界への切符を手にするか、それはサーキット・オブ・アイルランドの結果次第と言えそうです。ジミーズはもう卒業だ!

ガードレールの事故からドライバーを救え。

剥き出しになったガードレールの事故からクルーの生命を守るための研究がFIAインスティテュートによって行われています。命を救うはずのガードレールが凶器になり、2011年に瀕死の重傷を負ったクビサ、ブリーンも同様の事故でコドライバーのジャファを亡くしています。

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クビサが2011年のラリー・ディ・アンドラで起こした事故は、110km/hで走行中に20度の角度でガードレールの端に衝突したというポーランド国営放送のシミュレーション結果がでています。クビサがクラッシュしたマシンのリヤゲートからぬるりと3m近く突き出たガードレールの恐ろしい写真を誰もが覚えていると思います。この速度では1秒間に30mクルマは移動するのですから、ガードレールの鋭い刃先はわけなくマシンを貫くことになります。

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FIAは今回、110km/hでラリーカーをガードレールの端に衝突させる実験を行っていますが、この速度はまさしくクビサがクラッシュしたときのスピードと同じものでした。二度とクビサのような事故を起こすまいというFIAの決意は鮮明です。
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今回テストされたデバイスは、なかに砂が詰まった直径70センチ・高さ1メートルの鋼鉄製の円筒。これをガードレールの端に置き、無人のクルマを110km/hで衝突させています。

FIAによれば、このデバイスによってクラッシュの衝撃を和らげられたと同時にガードレールが上向きに屈折することで、バルクヘッドを突き破って室内へ貫通することが避けられたと説明しています。おそらく円筒になかに隔壁が作られていて侵入するガードレールを逃がす構造になっているのでしょう。
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FIAはこのデバイスを普及させるために100ユーロ程度というきわめて安価な販売価格を将来の目標にしています。500kgを超える物体をどこにどれだけ置くのか、おいそれと動かせないだけに設置の問題も出てくるでしょう。そして、なにより最大の問題はそのような危険な場所は無数にあることでしょう。

FIAにはラリーという競技に限った予防措置を講じるのではなく、一般の道路におけるガードレールの構造そのものを見直す動きにつなげてほしいものです。

ヨーロッパの一般道ではあえてガードレールの端を剥き出しにしないで斜めに折って地面に埋めるように設置しているところを見たことがあります。道路の現場をよく知る人のアイディアなのでしょう。見た目は悪いのですが、このシンプルな構造になにかいい解決の糸口があるように思うのですが。

日産のモータースポーツサイトに釘付け。

最近日産のモータースポーツサイトが充実しています。

日産自動車ニュースルームには最新の情報から過去のニュースや写真も公開されています。ためしに70年代のモータースポーツのアーカイブを覗いてみたら、広報写真だけで534枚が公開されていました。
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すごい! さすが、歴史を大事にする日産。ここだけで1時間あっても最後まで見ることができないほどです。

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こちらは1970年のサファリ・ラリーの表彰式をスーツに身を包んで待っている勝者のハーマンとシュラー、そしてブルーバードの勇姿。なんだか映画のワンシーンみたい。やっぱりサファリ、いいね!

日産自動車ニュースルームのホームページはこちらから。ホームページ上の「モータースポーツ」のボタンから知りたい年代へ飛ぶことができます。写真の他にも動画のコーナーも充実しています。もち映像はデジタル修正済みです。ぜひ一度チェックを!

グロンホルムとローブの対決が実現か!

驚きのニュースです。グロンホルムの息子ニクラスが名門オルスベルグMSEから世界ラリー選手権に参戦し、しかもマーカス自身がチームのゼネラルマネージャーに就任しました!

それにしてもローブとペターの対決が注目されていた今季の世界ラリークロス選手権ですが、まさかグロンホルムの名前がそこに加わることになるなんて!
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まさしくWRC黄金期のメンバーが集結であります!

グロンホルムの息子ニクラスは、一年前にフィンランド・ラリークロス選手権参戦を発表したときには、まだ初々しい感じだったけど、いまじゃ、髭生やしてワイルドな19歳に成長しました!
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フィンランド・ラリークロス選手権は本場スウェーデンに比べれば、ややレベルは落ちるものの、それでも彼は参戦初年度でチャンピオンを獲得して、グロンホルム・ファミリーの血統が脈々と流れていることを証明しました。

ラリーXの過去のニュースを検索してみたところ、ニクラスの名前が初めて登場するのは、2年前にマーカスが息子のために中古のトヨタMR2を購入したという記事でした。ジュニア・クロスカートで経験を積んできた息子のために、このMR2でラリーキャリアをスタートさせたいというマーカスの願いは、ちょっと方向が変わったけれど、それも新しい時代の流れなんでしょう。

いっそ、マーカスも走っちゃえばいいのに! なんて思ったけど、彼は「コックピットに乗り込みたい誘惑はあるけど、今は新しい世代のチャンピオンが誕生するべき時だ」と語り、自身の復活を強く否定しています。でも、兵役の問題があるグロンホルムJrがシーズンフル参戦できるかどうか定かではないとして、ちょっと含みを持たせた発言をしているところも気になります。

「僕たちは実際にはまだニクラスの兵役の確認を待っているところだが、サーキットでの真の走り方を若者に示すために、僕がいくつかのレースで代役として参戦する可能性だって否定できないよ!」ですって! 

時間をみつけては、レオーネの作業場に顔を出す日が続いてきたのですが、先日、ランサー大王こと安西カメラマンにお願いしてクルマの各部を撮影してもらいました。将来に控える大修理を前に、とりあえずボディのコンディションを詳細に記録して残して置くためであります。

僕らはふだんラリーカーはきれいにカラーリングされた外観にばっかり目が行くんですが、実はそんなの本当はどうでもいいことなのです。ラリーカーは底から見たとき真の姿が見えるのです。その魂はボディにこそ宿っているのです。
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というわけで、まずはリフトに上げられたレオーネのフロアを下から見上げてみました。遠目に見ると、30年前のクルマとしてはまあまあにも見えるですが、近づいて見ると、各部が錆で真っ赤っ赤でございます。
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防錆のための処理をしてないラリーカーは、いい保管がなされてきたとはいえ、さすがに30年経つと錆だらけになるのが現実です。
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ボディスペシャリストの岡本くんが各部にドライバーを当てて音を聞きながら、これまでの修理の過程や錆の状態、ボディのコンディションをチェックしてくれました。
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ロールケージのフロント取り付け部のフロアのあたりは錆があるけど良好な状態です。
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しかし、スポット溶接が剥がれ始め、クラックが入って向こう側の光が透けて見えるところも!

けっきょく、安西カメラマンは半日かけて冷静な目で300枚近くの記録写真を撮影してくれました。その写真には愕然となるものも含まれていました。なるべく現実を見ないようにしてきたせいかもしれませんが、ここまで厳しい現実だとは! それでも、いつかきっときっちりと直すから!

夕方、赤坂の事務所から外に出たところ、おびただしい数のヘリコプターが舞う音が聞こえ、まるでフラッシュバックのようにサファリ・ラリーのことを思い出しました。

ビルの谷間の狭い空だけでも4機がホバリング。ヘリが次から次へと飛んでくる音を聞くとかつてのサファリ・ラリーを思い出すと以前にもブログで書きましたが、今日もまさしくそんな夜でした。しかも、オバマの来日のときなんて比較にならないほどの数です。さすが清原・・・。いやしかし、ぶつかりそうなヘリを見つめて、戦争が始まったんじゃないかと外国のサラリーマンが不安そうな顔をしてました。んなことないよ、平和だから。

本当は群馬ナンバーにしたかった。

30年前、「群馬59さ9590」というナンバーをつけてサファリ・ラリーを走ったレオーネに、ふたたびナンバーがつきました。やっぱりこの車には当時のナンバーがふさわしいと思って、「9590」を受け継ぎました。
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残念なことにナンバープレートの地域やひらがなは選べません。いっそ、群馬の人に養子入りして車検を取ろうかとまで考えてみたのですが、「さすがにそれは!」という家族の猛反対にあってあえなく断念であります。しかし、本当は群馬ナンバーにしたかった!
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1986年サファリのスタートを前にしたマイク・カークランドとロビン・ニクソン。クルマもまだピカピカです。

タイミングベルトもこれから交換する予定ですが、実はすでにこっそりとシェイクダウンもしてみたのであります!
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戦いを終えたカークランドの気分で流してみました。環七がモンバサ街道になったようでありますっ!

タイヤに泣き、タイヤに笑ったカナリアス。

ERC開幕戦ラリー・イスラス・カナリアスはタイヤ・ドラマのラリーになりました。初日、タイヤ選択に失敗したロシアのルクヤヌクですが、二日目には異常摩耗に苦しむカイエタノビッチを抜いて開幕戦で優勝です。
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こちら初日朝のルクヤヌクのタイヤ。濡れていた路面が急速に乾き、紙ヤスリのような路面でソフトを選んだ彼のタイヤはあっという間にご覧のような有り様です。

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それでも最後までドキドキさせてくれたいいラリーでした。シュコダは今年もERCへのフル参戦は行わないと表明していますし、IRC時代より明らかに役者不足の傾向にあると言われていますが、二人が今回のような激しいバトルを続けてくれることが選手権の未来につながるはずです。

ところでラリー・イスラス・カナリアスの総合優勝は地元のエンリケ・クルースのポルシェ997 GT3だったことに気付いてましたか? 金曜朝のセミウェットのステージではタイムを落としましたが、あとはほとんどトップ3のタイムをマークして、ERC優勝のルクヤヌクに25秒差をつけてのフィニッシュです!
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さらに地元のルイス・モンゾンのシトロエンDS3 R5を上回る速さを見せて総合4位に入ったのは、クリスチャン・マルチネスの三菱ランサーエボリューション! N4マシンがR5マシンをぶち抜きですよ! 

リストリクターサイズをちょっと拡大した地元スペックのマシンとはいえ、こんなに速いエボをみせられると、N4マシンがいかに不条理ともいえるルールで骨抜きにされていたのか、よくわかります! 
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ぶるるー、レプソル・カラーのエボXにしびれた!

やっぱりトヨタはラリーカーだっ!

先週の週末、ラリー・メキシコでヒーハーしている最中に、トレッサ横浜で「オートモールフェスタ」というイベントが開催されたそうで、ふだんは足を踏み込むことができない隣接するTRDもなんと工場を公開、さまざまな貴重なレーシングカーをはじめとして歴代ラリーカーを展示したそうです。
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222Dじゃないですか! 見に行きたかった!

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うひゃー、セリカのツインカムターボやST165〜205、カローラWRCとラリーカーがずらり。テストマシンの222Dは貴重なマシンではありますが、やはり実際にステージを走ったホンモノのマシンは格別の迫力です!

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いっぽう、こちらは先月のノスタルジック2デイズ。このときもST185の藤本サファリ優勝車が展示されていたりと、最近ことあるごとに歴代のトヨタ・ラリーカーが展示されるようになりました。しかも、サファリ・マシンの展示が多い!

このST185藤本号も、いまはエンジンを掛けられない状態らしいですが、メンテナンスしていろんなイベントでじゃんじゃん走らせてほしいものです! やっぱりトヨタのサファリ・マシンは最高にかっこいい! 巨大なマッドフラップをバタバタさせて疾走したら、きっと失神者続出であります!


R4キットは救世主か。

ヨーロッパでもあまり大きなニュースとして報道されませんでしたが、一つの重大な決定が先週末のワールドモータースポーツカウンシル(WMSC)で承認されました。「R4 キット」と呼ばれる、新しいラリーカーのテクニカルレギュレーションです。

世界選手権のイベントへのエントリーがあまりにも少ないことから、FIAとWRCプロモーターが現行R5とR3の中間に位置するクラスを梃子入れしてイベント全体をにぎやかにするために、共通エンジン+共通トランスミッション+共通サスペンションのキットカーの誕生を急ぎ、そしてマニュファクチャラーの反対も顧みずに承認したのです。

今回のR4キットの誕生に大きく影響したのは、昨年のラリー・アルゼンチンの成功でした。それまで20数台という寂しいエントリーしかなかったアルゼンチンは、昨年から国内の車両規定のマシンの出走を認め、その結果、エントリーは43台(そのうち17台は国内規定のマシン)にふくらみました。まさしくアルゼンチンの救世主になったアルゼンチン国内規定の「マキシカー」こそがFIAのR4キット誕生のベースとなったのです。
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(こちらシボレーのマキシカーです)

アルゼンチンのマキシカーは、STIベースチームだったバラテックが供給するスバル・インプレッサWRX STIのトランスミッションやサスペンションが共通パーツとなり、エンジンはOSベルタがチューンする2.4リッターのホンダK24エンジンがコモンパーツとなります。これらを使用すれば、外観はプジョーであろうとフィアットであろうとなんでもかまわず、さまざまなプライベーターがこの共通パーツで改造したラリーカーで出場できることになり、アルゼンチンにまさしく革命をもたらすことになりました。

ちなみに今年のアルゼンチン選手権の開幕戦ラリー・コルドバには、22台のマキシカーが出場、シボレー・アジャイル、フォード・フィエスタ、プジョー208、VWゴル・トレンド、フィアット・パリオ、シトロエンDS3、アウディA1、ルノー・クリオという8種類のマシンが集結しております。

マキシカーは2011年に初めて正式にアルゼンチン選手権への出場が認められ、2012 年にはFIAコダスール南米ラリー選手権への参戦も可能となり、そして昨年とうとう世界選手権アルゼンチン・ラウンドへの参戦が認められました。FIAは新しいR4キットカーによって世界選手権においてワールドカップを併催する予定ですが、この南米での勢いを見ると、R4キットは残り少ないN4ラリーカーどころか、将来はR5マシンの市場すら脅かすのではないかと懸念する関係者は多いようです。

ラリーはそもそもプロダクションカーで争うことが原点だったはず。しかし、WRカーがS2000ベースのレーシングカーの競争となってしまい、昨年末をもってFIAプロダクションカーカップが世界選手権からひっそりと消え、共通パーツで作られた外観の違うマシンがステージの主役になっていったとき、ますますラリー人気は失われるのでは?

そんなことはない、マキシカーがアルゼンチンの救世主になったじゃないか、という言う人がいるかもしれません。しかし、90年代にはアルゼンチンは車のエントリー不足なんてなかったのです。1999年のアルゼンチンには75台ものエントリーがありました。そして、そのすべてがグループAとグループNのFIAホモロゲーションをもつプロダクションカーであったことを思い出してください。

そもそもはどこのディーラーでもふつうに売られているプロダクションカーの良さを問われるのがラリーでした。ホンモノのクルマづくりためにラリーはあったと思う。しかし、ラリーはWRカーとともにいつしか大きく道を逸れ、さらにR4キットカーとともにまったく想像もしない未来へと辿りつこうとしています。だってクルマのアイデンティティは外観とエンブレムだけで、中身は共通のワンメイクマシンなんですよ! そんなのプロダクションカーと言えるんでしょうか!

・・・ところで、はたして、このR4キットカーにトヨタは賛成票を投じたのでしょうか?

一年前、豊田章男社長は、「もっといいクルマづくり」のためにWRC参戦を行うと宣言されました。ラリーがますます市販車とかけ離れようとしていることを、まだ参戦する前のトヨタがどのように分析しているのかわかりません。しかし、トヨタが小さなパーツ一個から真にいいクルマづくりを行うためにラリーに出場するというのならば、将来、市販のクルマとラリーカーが精神的にも技術的にも寄り添っていけるようにラリーのルールを変えるようFIAに働きかけていってほしいものです。

ラリーはもう終わっている。R4キットは末期の喘ぎ声に他ならないと言う声もあります。しかし、トヨタならきっとWRCの未来だって変えることができると思う。

ミステリーのようなペナルティ。

さて、運転してないのにタイムコントロールに早着してしまったという、まるで死体なき殺人事件のミステリーのような事件がラリー・メキシコで起こりました。

土曜日、ミケルセンがガンガン攻めてソルドに4.5秒差に迫ったところで、よく意味のわからない情報が続々と現場から流れてきました。

「ミケルセンがタイムコントロールに早着してしまったので1分のペナルティらしい」「でも彼は運転してない」「チームも正確な情報がわからない」
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えーと、なぞなぞですか?

と状況が見えないうちに、次のステージでミケルセンはクラッシュ。リタイアしちゃったら、ペナルティなんてどうでもいい話なのですっかりこの話を忘れていたわけですが、なんとやっと情報が判明しました。

ミケルセンがタイムコントロールの手前でクルマの外で談笑していたとき、コドライバーのヤーゲルが出発を促すためにエンジンを掛けたらギヤが入っていたんですって! 

その結果? 1分の早着ペナルティと危険運転で1,000ユーロの罰金! それより、あまりにもがっかりしちゃってクラッシュしたほうが痛いよね! 本当にラリーは予想もしなかったことが起きますね。詳しくは本日のニュースで!

さて、ここで事務局からお知らせです。明日10日木曜日、ラリーXモバイルはより良いサービスを提供できるようサーバーメンテナンスを行います。朝10時から午後3時頃まで、携帯サイト・スマホサイト・PCサイトともにアクセスができなくなります。ご迷惑をおかけいたしますが、どうぞご理解をいただけますようお願い申し上げます。

今度こそ、今度こそ復活と信じたい。

ヤリ-マティが、やっと復活の優勝であります。
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40 度にもなるコクピットのなかでの戦いを終えたあと、うまそうに水を飲みほしました。

キャリアでもっともクレバーだったとメキシコを振り返っていますが、そのアプローチを次戦アルゼンチンでも続ければ、まだまだ選手権の行方もわからなくなってくるはずです。

今度こその復活を信じたい。クレバーになってもらって、本気で復活してもらわないと選手権も盛り上がらないですもんね。選手権もまだ6位ですし、アルゼンチンがドライになればチャンスはより大きくなるはず。

さて、ソルドにとっては残念なタイヤ規定違反ですが、それにしてもメキシコはゴール後に順位が変わることが多い気がしませんか。時差の関係からいますぐにでもベッドに倒れ込みたいところで順位変更の公式通知が出るので、そんな気がするだけ? 

二日連続でやっちまったな!

初日クラッシュに続いて、またしてもヌービルがクラッシュ。ダメージが大きくて最終日にはリスタートできないようです。
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今年のルールではリタイアしちゃうとポイント獲得が絶望となることから、せっかくラリー2でリスタートしてもステージの経験を積む以外にあまり意味がないので、あとは攻めるだけで攻めればいいわけですが、なんとも二日連続でやっちまった男にチームの風当たりは強いはず。

メカニックだって人間だし、せっかく一生懸命につくったクルマを壊されて、また直して、また壊されてを繰り返していたら、やったりチーム全体を味方にすることなんてできません。

ヘイデンとティエリーのどっちがエースなのかと言われたら、いまはどっちもどっちとも言える状況ですが、このままではナンダンの信頼もなくしそう。

少し前ですが、パッドンのツイッターを覗いていたら、「自分でドリームチームを作るとしたら?」のファンの質問に、ヒュンダイで、ローブ、ペター、ソルド、自分と答えていました。それに対する「ティエリーは入れないの?」の質問は無視されていましたよ(苦笑)。

さて、残すは最終日のみ、オープニングステージに80kmのグアナファトが待ち受けます。すでにラトバラは100秒近くをリード、1kmあたり1.2秒遅れてもセブに追いつかれる心配はない計算です。
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ファンも新しいウィナーの誕生を確信、絶賛モテモテ中であります! 最終日は日本時間の日曜日深夜0時ごろスタートです。今週のラトバラなら逃げ切れるはず!

ヌービル、やっちまったな!

いきなり金曜日の最初のステージでヌービルが消えてしまいました。シェイクダウンから素晴らしい速さをみせ、記者会見でも「優勝も狙える」と笑顔で余裕のジョークをかましていたので、これはやっと春が来たかも! なんて思っていたら、いきなりこれです!
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昨年もオジエと首位を争っているところでエル・チョコラテでクラッシュ、2年連続で同じステージで消えたことになります。新しいヒュンダイは速いけれど、足回りや駆動系に問題を抱えることが多く、VWに比べて速いのか、どうなのか、いま一つ見えてきませんねえ・・・。

さて、現地では金曜日の半分のステージしか終わってないのに、日本は朝を迎えようとしています。うーん、正直ねむいっす!

アバルト、WRCに帰ってきて!

アバルトがラリーへの復帰を夢見ているというニュースは以前にもお伝えしたわけですが、こんなにも明確なメッセージをジュネーブショーで発することになるとは!
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往年のワークスカラーをまとった124ラリーのプロトタイプマシンです。

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参考までにこちらは40年前にフィアット・ワークスが走らせていた124アバルト・ラリー。75年モンテカルロのダルニッシュ。

現代版の124ラリーカーのベースになるのは、マツダ・ロードスターなのでしょうけど、1800cc直噴ターボで後輪駆動の296馬力エンジンを搭載するということは、1500ccエンジン搭載の国内モデルではハブやらミッションやらは持たないと思うので、全然別モノ? 
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アルミのベルトカバーに赤いAbarthの文字。こういう演出がにくいよね!

残念なのは、ターゲットにしていたFIA R-GTカップがちょっと寂しい状況になっていること。デルクールもあまりも高額すぎるということでポルシェでの参戦を中止しましたし、タットヒルズも撤退を表明しています。ツーシーターの124スパイダーがグループAのホモロゲーションをもつのは困難でしょうけど、グループR3のトヨタ86と124スパイダーのための後輪駆動クラスが誕生すればもっと盛り上がるかもしれないですね。

さて、日本から15時間遅れのメキシコはいま木曜日の朝を迎え、たったいまシェイクダウンが始まったところです。そして現地の木曜夜にはユネスコ世界遺産に登録されているお馴染みの銀鉱あとに作られたトンネルのステージで今年のラリー・メキシコが開幕します。

このSS1は日本時間の金曜日昼の11時からスタートの予定! 時差に優しいのは今日だけで、あとは地球の真裏のラリーを追い掛ける、厳しい週末になりますが、みなさんもどうぞ速報にお付き合いください。宜しくお願いします!

空前のモンスターステージ!

火曜日に行われたレッキ初日、ドライバーたちが口々に80kmのモンスターステージ、グアナファトが驚くべき長さだったとレポートしています。

地元のベニート・グエラが本番ではトップドライバーでも走りきるには51分か52分だろうと予測したこのステージ、レッキを行ったダニエル・ソルドのコドライバー、マルク・マルティによればペースノートは88ページになったそうです!
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ヘイデン・パッドンはレッキに90分掛かったとSNSでファンに報告しています!

グアナファトの80kmは、イバリッヤとアグア・ザルカのステージとは一部のセクションを共有してます。それでもマッズはレッキ初日、2回の走行で合計300kmも走り、頭痛がしたためにアイスクリームを食べなければならなかったとレポートしています。

朝暗いうちにレッキが始まり、サービスにドライバーたちが帰ってきたのは陽が落ちてから、WRC久々復帰のプロコップはレッキ初日にして打ち上げのビールです。
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早くもやり遂げた感? まだまだあと一日レッキは続きますよ。

真夜中にブツの取引。

ずっと気になっていたレオーネの足元。やや歪んだホイールと、当時、ラリーで使用したとおぼしきひび割れたタイヤは、このままじゃあ車検どころじゃないし、第一、これは大事に保存しておいて、別セットを探したほうがいいんじゃないかと悩んでいたところ、運良く知人を介してKITトライアル13インチの美品を譲っていただくことになりました。
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深夜3時に足立区の某駐車場でお宝ゲットです! まるでやばいモノを扱っているみたいでスリリングでした。地方からわざわざ持ってきていただいたので、この時間の取引しかできなかったのですが、どうにか職質もされずに無事に取引完了です!
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KITトライアル、通称ビッグライト。リムには、SMSG(スバルモータースポーツグループ)の刻印が入っています。86年のサファリにしてもそうですが、スバルがプロドライブと組んで世界選手権に本格的に挑戦するはるか以前、小関のオヤブンとSMSGがスバルを海外のラリーへのチャレンジに導いたわけで、もちろんこのSMSGの刻印が入ったKITトライアルもオヤブンのマシンとともにサファリを戦ったのであります。

この時代のスバル車のホイールはPCD140mmという涙モノのサイズなので、ホイールを探すと、もうこれしかありえないというチョイスです。オヤブンがつくったホイールは、それにしても軽い。軽さはサファリでは大きな武器ですが、あまりにも軽さを追求したのでサファリのようなコンディションではかなり破損もしたと言われていますが、街乗りではきっと十分ですよね。時間があるときそのうちちょっと泥を落として磨けば、もっと光るように思います。

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さて、軽いはずのホイールを深夜に運んで、ややぎっくり腰気味の本日、編集スタッフ総出でこれまでたまっていたプレゼントの発送大会をしました。当選されていた方、長らくお待たせしまして申し訳ありませんでした。週末までにはお手元に届くんじゃないかと思います!

因縁の対決、ふたたび!

セバスチャン・ローブ、世界ラリークロスにフル参戦! ダカールでプジョーとの関係が深まったローブの次の照準はラリークロスと噂されていただけに、ついに来たかっ! てニュースであります。
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ローブが因縁の関係と考えているかどうかわかりませんが、2003年以降、WRCのドライバー選手権でローブを破ることができなかったペターにとっては頭の痛い存在であります。

しかも、そろそろマニュファクチャラーの協力がほしかったペターにとってはなんとも痛い報せでしょう。

とはいえ、これで世界選手権になって3年目を迎えるラリークロスがさらなる人気になるのは間違いなし。VWも体制一新しているし、プジョーは本気出してくるし、若いティミー・ハンセンも育ってきているし、これまでとはレベルが違う、まさしくラリークロス新時代の幕開けになりそう!あ、そうそう、ケン・ブロックも忘れないで!

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